厳冬期エアーマット最適解の1つ=ネイチャーハイク
先日記事にしたように冬に自転車キャンプをしようと準備を進め、マットも新調しようと思った。
「冬」に「自転車」なのだから、求められる要素は、耐寒性と軽量コンパクトこの2点だろう。
先ずマットの耐寒性とはすなわち断熱性を意味するが、マットの断熱性はR値で数値化されている。
一般的に冬季はR値4.0以上、厳冬期ではR値5.0以上が推奨されている。
自転車によるキャンプと言っても自分はそれほど高地に行くつもりも体力も無いが、加齢を重ねすっかり脆弱になった自分は昔ほど寒さに強くはないのでR値5.0以上を目標にしたい。
なお、このR値の測定方法は以前も独自計測から表示しているメーカーが多かったが現在ではASTM F3340という規格で測定しているメーカーが増えており、この規格で測定していれば異なるメーカー間でなら比較しても問題無い。
ただし、いまだに独自規格で測定しているメーカーもあるので、注意した方が良い。
軽量性に関しては、自力で駆動する自転車なので、もちろん軽いにこしたことは無いが、一分一秒を競い合う競技では無いのだから10g単位の重さに一喜一憂するつもりも無い。
しかし自分がやろうと考えているのはバイクパッキングと呼ばれるスタイルで、これはそれほど大きな道具を積めるわけでもない。
なので大きさは、とにかく小さければ小さいほど都合が良いのだ。
と、なればクローズドセルやインフレータータイプよりはエアーマットが適しているだろう。
カタログスペック的には重さ800g以下をなんとなく考えた。
最後に予算だが、これももちろん安ければ安いほど嬉しいが、断熱性に優れて尚且つ軽量コンパクト、そんな製品はどうしたって高額になるのは自明の理。
1万円以下なんて有り得る訳が無い。
2万円以内が理想ではあるが、上限で3万円くらいは覚悟しておく必要があるだろう。
さてこの手の厳冬期向けエアーマットをある意味一番重要視する登山界ではガチガチの定番がある。
マット業界のリーディングブランド=サーマレストのネオエアーXサーモだ。
R値5.7で430gと超軽量!
高い断熱性と超軽量を両立して、冬山登山ではほぼ一択とまで評されるほどの製品。
マット内部の熱反射剤がカサカサと音がするのを嫌う人もいるが、性能的にはそのくらいしか欠点が見当たらない恐ろしく高性能な製品。
そしてそんな超定番なのに最近モデルチェンジされて、439gとほんの僅かな重量微増でR値7.3と大幅に断熱性を上げて更に唯一の弱点カサカサ音もだいぶ改善された。
本当に隙のない製品それがネオエアーXサーモNXT
じゃぁ安価で良い製品はないかと探すと、国産登山用品のリーディングカンパニー=モンベルのエクセロフト エアパッドこれが高性能なのに意外と安価!
R値5.0に658gで17600円は凄まじいコスパです。
ネオエアーXサーモNXTより200g近く重いけれどなんと半額以下!!
最高の性能とは言い難いが、自分のようにそこまでの高性能を求めない人間には向いているんじゃないだろうか?
先述したように重量増はそれほど気にならないが、大きさがどのくらいなのかが問題だ。
カタログの収納寸法よりもコンプレッションバッグでもっと絞れる場合もあるので、カタログスペックはイマイチ参考にしにくい。
そう思って現物を見にモンベルショップへ出向いて驚いた。
デカイ! そして残念なことにあまり圧縮できそうにない。
カサカサ音を嫌ってネオエアーXサーモではなく、ダウンを断熱材として封入しているエクスペドというメーカーのマットを使っている知人がいたので、それくらいの大きさを勝手に想像していたのだが、断熱材として化繊綿のエクセロフトを使用したこの製品はダウンほどは圧縮できないのだろう。
コスパは本当に良いと思うのだが、コンパクトさを求める自分の使用用途には合わないので諦めた。
うぅ〜ん、他に厳冬期登山用の製品となるとニーモのテンサーインシュレーテッドがR値4.2の410gとスペック的には旧ネオエアーXサーモに次ぐ優秀さ。
R値が少し足りないとはいえ、先述したように高地に登るわけでは無いのでそこは我慢できないこともないだろうと予想できる。
ですが、空気漏れの評判をよく聞いていたので、怖くて使う気になれない
うぅ〜んとなると、旧ネオエアーXサーモ一を探すのも手か?
とは言っても既に旧ネオエアーXサーモはもう店頭在庫は残っていないようだ、となればメルカリ等で中古を探すか?
でもエアーマットは経年劣化やパンクなどを考えると中古は避けたいのが本音。
どうしたもんかと何となくアマゾンを眺めていて目に留まったのがネイチャーハイクのエアーマット
Naturehike 公式 高R値 エアーマット R5.8/ 3.5 アウトドア -20°C使用可能 厚手7cm 超軽量 コンパクト キャンプ 登山 インフレーターマット 連結可能 耐水加工 車中泊 テント泊 防水 防災 収納袋付き
オートキャンプを主戦場にする自分は、エアーマットよりもインフレータータイプを好んでいたので、正直エアーマットはあまり詳しくない。
ネイチャーハイクと言えばテントのイメージが強く、エアーマットを製造販売していた事すら知らなかった。
カタログスペックを見るとR値5.8で490gならば、旧ネオエアーXサーモと大差無いスペック。
それが定価16990円!?
このスペックが本当ならば理想を超えた製品です。
調べるとネイチャーハイクはASTMに準拠したSGS検査なので、R値はそのまま信じて良いようだ。
断熱材に、ネオエアーXサーモと同様の熱反射剤を使っているようなので、ダウンや化繊綿のように収納時に嵩張る心配も無いはず。
web上での評判を見ると断熱性が高く、空気漏れもの心配も無さそうだ。
となると… これは買いですね!
ネイチャーハイクを販売している実店舗はほぼ無いので、実物を見てから買えないのは少し心配だがアマゾンにて購入!!
届いた実物は…
うぉ〜つ!
本当に軽量コンパクト!!!
マット本体のみので実測472.0g
収納用のスタッフサックとまとめるための輪ゴムと補修用パッチこれらと全部まとめて482.0g
大きさ的には、自分は所有していないので確認できないけれど店頭で見たネオエアーXサーモよりも少し小ぶりな気がする。
断熱材など何も入っていないエアーマット=イナーシャオゾンと並べてみてもほとんど変わらない大きさ。
写真のイナーシャオゾンは丸め方が悪かったので少し太く見えますが、実際はほぼ一緒です。
この手の製品って製造工場から直送されたばかりの状態ではペチャンコでコンパクトなんですが、実際に膨らまして使った後に収納するとどうしても少し膨らんでいるじゃないですか。
カタログスペックだけで比較していると、どうしても実情とは微妙に違ってくる。
そういう意味では上の写真は実際に使っている状態での収納サイズ比較です。
R値5.8のエアーマットとしては異常なくらいのコンパクトさだとお分かりいただけると思います。
これよりもコンパクトさを追求するなら、ハーフレングスを検討した方が良いと思う。
断熱性はどうだろう?
膨らまして実際に横になってみると、自分の身体の熱を反射して横になってから僅か1分くらいでほんのり暖かさを感じる。
実際に気温2度くらいの状況で試してみても、底冷えは全く感じなかった。
空気弁を外すと奥にすぐ見えるけど、銀色の熱反射材が効いているようだ。
軽量コンパクトさと断熱性はカタログスペックに偽り無しと言って良いだろう。
これだけで、自分の要望は満たされたが、他の要素も検証してみよう。
先ず使用のための膨らまし方。
空気弁は最近主流のパカッと外れて逆止弁付きの二重構造。
SEATOSUMITTなんかに比べると使いやすさは少し落ちるけど、十分以上に許容範囲。
ただ空気抜けは少し感じますね。
パッツンパッツンに膨らましておいても、翌朝には少しフニャっとなります。
でもまぁこちらも許容範囲。
エアーマットは口から呼気で膨らませると、呼気に含まれる水分でマット内部を凍らせてしまったりカビが繁殖するリスクが生じる。
そんなわけで最近はポンプサックで膨らませることが推奨されています。
このマットに関してはそのポンプサックまで付属しています。
モンベルをはじめ別売のメーカーもある中、無料で付属しているのはとても嬉しい!
が、使いやすさはイマイチなのが本音。
自分はコンパクトな電動ポンプFlextailで膨らませています。
付属のポンプサックは実測63.5g
自分の使っているFlextail GearのTinyで実測85.4gで、僅か22gしか増えていない。
ZeroPumpだとカタログスペックは電池を入れて約50g
そう、最軽量の製品なら電動ポンプの方が軽いんです!?
音だけは気になりますが、お勧めです。
とにかく空気を目一杯入れると厚さ7cmまで膨らむらしい。
4.4cmのイナーシャオゾンと比べるても確かに分厚さがはっきりわかる。
と、なれば寝心地は相当良いだろうと期待すると…
数値ほどの良さは体感出来ない。
悪くは無い! 悪くは無いがインフレータータイプに慣れた自分には、「厚さ7cmでもこんなもの?」って感じです。
4.4cmの厚さしかないイナーシャオゾンと比べてもメチャクチャに優れているとは感じない。
最近のエアーマットは空気の移動が少なくて寝心地が昔よりも改善されているのですが、このマットはまだ改善の余地ありって感じです。
それと、ほんの少しですが底付きしそうな雰囲気があるのも気になります。
仰向けに静かに横たわっているとそんな気配は感じませんが、横を向くと肩や腰骨などの出っ張った箇所は微妙です。
上半身を起こすと、お尻は確実に底付きします。
更に素材的に滑りやすい表地なので、傾斜地ですと滑り落ちそうで落ち着いて寝ていられないのも気になりました。
旧ネオエアーXサーモは寝ている周りの人にも聞こえるくらいカサカサ音がしたそうですが、ネイチャーハイクはそこまで酷くありませんが、やはり寝ている本人にはギューギューと音が聞こえます。
こういう異音って気になる人には結構気になるんですよね〜
総じて寝心地に関してはイマイチというのが素直な感想。
性能数値的には申し分無いけれど、実使用にはやや難ありというところでしょうか?
とは言えテンサーの空気漏れほど致命的な欠陥ではありませんし、最上の使い心地は期待しない方が良いですよ、という感じ。
価格を考慮しなくても、断熱性と軽量コンパクトさの性能数値的スペックだけで比較すると、絶対王者ネオエアーXサーモの座は揺るぎないものの、他のライバル製品には決して見劣りしない高次元バランスです。
そこに価格を考慮されたら…
厳冬期登山用エアーマットの最適解の1つと認めざるを得ないと思います。
ちなみに自分が購入した2023年12月ではアマゾンで定価16990円から10%引きの15291円で販売されていましたが、春が近づいた2024年3月では20%引きの13592円で販売されていました!
しばらくはこのくらいの実売価格で推移すると思われます。
ネイチャーハイクは、中華ブランドとみくびっていましたがこのエアーマットに関してはかなり素晴らしい製品だと言えます。
他の一流ブランドの奮起が期待されます。
と言ってるそばからニーモがR値8.5で472gのテンサーエクストリームという化け物を出してきましたね。
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