岩手県の陸前高田で「ツール・ド・三陸」という自転車イベントに参加した。
イベント終了後の月曜からはスノーピーク陸前高田でゆっくり夏休みを過ごそうと、たっぷり休日をとっておいた。
ところがいざ予約をしようと思ったら、スノーピーク陸前高田は水曜が定休のため月〜火曜日の1泊2日しか利用が出来ない。
せっかくタップリと休みを確保したのだから、別のキャンプ場に行こうと考えた。
そもそも岩手から一気に首都圏まで帰るのは骨なので、途中にワンクッション入れた方が楽だという事情もある。
となると岩手県から南下してすぐお隣の宮城県よりは福島県くらいが、位置的にちょうど良い。
過去にもそうやってフォレストパークあだたらや天神浜オートキャンプ場を利用したこともある。
どちらのキャンプ場も良かった。
特にフォレストパークあだたらは自然豊かなのに快適施設で非常に印象が良かった。
また同じキャンプ場でも良いが、利用したことの無いキャンプ場を開拓するのも良い。
どうしようかと思案していたら、妻が「街なかキャンプとか言っている変わったキャンプ場があるよ?」と教えてくれたのが、ここグランケット桑折だ。
県都福島市に隣接する衛生都市=桑折の街中にあるスーパーマーケット「いちい桑折店」に隣接した施設として、「桑折駅から徒歩6分という利便性抜群の街なかにありながら一歩を足を踏み入れればそこは異空間」というコンセプトだそうだ。
ちなみに施設名のGlamquet(グランケット)とは、「Glamping」(グラマラスなキャンプ)と「Banquet(ごちそう、豪華な食事、宴会)」の言葉を掛け合わせた造語だそうです。
常設のドームテントやキャビン棟ではいわゆるグランピングを
*参照グランケット桑折ホームページ
区画サイトでは、テント持ち込みのオートキャンプ
フリーサイトで、日帰りBBQと言うのが運営の想定した使い方のようです。
もちろん自分が利用するなら区画サイトでのオートキャンプ。
2024年の3月にオープンしたばかりのキャンプ場で施設はかなり快適そうだし、区画サイトも広そうだ。
そして嬉しいことに、利用料が区画サイトやフリーサイトの利用料金が相場よりも安い。
区画サイトは全て電源付きで1泊2日の利用料が3300円!?
フリーサイトに至っては1泊2日で1100円!?
正直何を考えているんだ?と聞きたくなる料金設定。
これは俄然興味が湧いてきた。
実際に使って良ければ、来年以後も恒例化しても良いかもしれない。
良し!予約してみよう!!
もちろん安ければ安いほど嬉しいが、ここまで安ければ区画サイトでも予算的には問題無い。
連泊予定だし、諸々考えればAC電源は有った方が快適だ。
それに区画サイトはウッドフェンスで囲われているようなのでプライバシーも守られる。
特に5番サイトはパーテーション完備との事なので防犯上も完璧なんじゃないだろうか?
*参照グランケット桑折ホームページ
しかしいざ予約しようと思ったが5番サイトは既に予約が入っていた。
平日だし利用3ヶ月前なら空いているかと思ったが、やはり人気があるのだろう。
仕方ないので1番サイトを予約し、利用当日を楽しみに待つことにした…
利用当日、東北自動車道を南下してくるなら国見ICを降り、北上してくるなら伊達桑折ICを降りて国道4号線に乗る。
「スーパーマーケットいちい桑折店」を目指して行けば良いのだが、我が家のカーナビの地図は古いのでまだいちいが載っていないため直前はグールマップを頼ることにした。
とにかくいちい桑折店に到着。
キャンプの受付はいちいのサービスカウンターなので、スーパーの駐車場に車を停めいちいに入店。
いちいの入り口は2つあるが、奥の入り口の方がサービスカウンターに近い。
利用料金は予約時に事前精算してあるし、区画も予約時に指定しているので、これといった事は無い。
利用上の注意点は主に3点。
・焚き火はスパッタシート等を使って芝に火が落ちないように気を付ける。
・22〜翌7時まではサイレントタイム
・芝生は車の乗り入れ禁止、区画サイト内でも駐車スペース内に車は収める。
・ゴミは全て持ち帰り!
他のキャンプ場よりも若干芝生への保護に力が入っている気がするが、まぁ普通の範囲内と言えるだろう。
有料でも構わないからゴミは処分して欲しいのが本音だが、まぁ仕方無い。
子供向けの遊具などの無料貸し出しもあったりするのは感心した。
説明を終えたら、車で奥へ移動しゲートをくぐりキャンプ場内に入場。
自分が予約した1番サイトはこのゲートのすぐ脇だ。
見てのとおり向かって左側に車を停めるスペースがあり砂利が敷き詰められている。
駐車スペースの脇に、通路と同様のタイル敷きの通路がある。
それ以外は芝生が植えられているが全面ではなく市松模様のような感じだ。
芝で無い部分は砂なので泥汚れになる心配は無いが、芝との段差でやや凸凹している。
3方向全て約1.9mくらいの高さのウッドフェンスで囲われている。
区画の広さは実際に測ったわけではないけれど、おそらく8x9mくらいではないだろうか?
事前の評判では区画サイトも広い広いと言う評判ばかりだったので、もう少し広いサイトを想像していたが思ったよりは狭いのが本音。
大型テントに大型タープの組み合わせでは入りきらないだろう。
今回自分が用意したのがNordiskのReisa6にKari Diamond10の組み合わせ。
写真を見ると綺麗に収まっているように見えるかもしれないが、タープはかなり無理矢理に張った。
2人だから我慢できるが、中型タープではちょっと厳しいのが本音。
広いという評判を鵜呑みにして何も考えずに持ってきたが危ないところだった(汗
ちなみに、当初利用したいと思っていた5番サイトは外から見るとこんな感じ。
3方向のウッドフェンスでそのまま4方向囲われているだけ。
入り口はおそらく横にスライドするのだろう。
正直に言えば、4方向全てフェンスに囲われると、内部はかなり閉塞感が強いだろうと思う。
フリーサイトから丸見えの心配が無い代わりに、かなり鬱屈した気分になりそうだ。
結果論だが、予約出来なく良かったと本心から思った。
おそらく犬を連れた利用を想定したのでは?
ちなみに、自分が滞在した4日間に一度も利用者は現れなかったので、自分が予約した後にキャンセルしたのだろう。
5番サイトは4方向全て囲われている以外は1〜5番サイト全て同じ大きさ形状だ。
閉塞感満載の5番サイト意外、どこを選んでも大差無い印象。
また、スーパーの買い物客と思しき人が、スーパーの駐車場側から時々このフェンスの隙間から覗いているのを何度か見かけたのは正直ゲンナリした。
街中に突如現れたキャンプ場に物珍しさがあるのだろうが、流石に呆れた。
ただこのウッドフェンス、悪い事ばかりではない。
到着した初日はけっこう風が強かったのだが、しっかり風除けになってくれて心配感が皆無だった。
初日は用心のため、フェンスよりも少し低めにタープを張ったが、翌日以後はもう少し高めに再調整した。
フェンスは閉塞感もあるが安心感もあると言うことだ。
そうした安心感を求めないなら、フリーサイトの方が良かったのかな?とも、利用後の今なら思う。
フリーサイトは車乗り入れ禁止なので、芝生内には車横付けで荷物の積み下ろしなど出来ないが、電源サイト利用者のための通路はあるのでフリーサイト利用者もその通路までは車を乗り入れる事は許されるだろう。
そこで荷物の積み下ろしが出来れば特に不便は感じないだろうと思う。
リヤカーも貸し出してくれるので、フリーサイト奥の辺りでもそれほどキツい事は無い。
もちろん電気の恩恵は大きいので、自分のような大型テントでなければ電源付きの区画サイトの方が快適という人も多いと思う。
サニタリー棟はゲートから入場して左手奥
*参照グランケット桑折ホームページ
上のイラストで右側の黒い建物。
トイレは男子用だと小1つに大1つと便器の数は少ない。
でも、最近の施設らしくウォシュレットなのはもちろんだけど、便座や蓋が自動で開閉する最新の型だし、何よりとにかく清潔で管理が行き届いている。
流し台も2つだけだけどお湯も出るし、食器洗い洗剤にスポンジやハンドソープも備え付けられていた。
ただ、壁に貼られた注意書きを見て唖然。
えっ!?
バーベキューした後のグリルや網などはいったいどこで洗えば良いの?
油汚れに煤まみれの汚いグリルや網を、通常の流し台で洗うと非常に汚れて清掃管理が大変なのはわかります。
バーベキューをしない他のお客の迷惑になるのもわかります。
でもそうしたバーベキュー用の流しを別に設けないという事は、洗わずに持ち帰れという事ですか?
SDGSとか環境がどうのと張り紙もされていましたが、結局自宅で洗うなら環境に対する負荷はトータルでは変わりません。
自分達の施設さえ綺麗に維持できれば後は知らぬ存ぜぬではあんまりでは無いですか?
と言うか、自分のように連泊する利用者は汚れて匂いを振り撒く道具をそのまま放置してキャンプを続けなければいけないのですか?
キャンプ場のホームページではしきりにスーパーでお肉を購入してのバーベキューを勧めていたので、一度くらいはやろうと思ってBBQグリルを用意していましたが、すっかりやる気を無くしました。
ブッチャケて言えばこうした張り紙をしても、ルールを守らない人は出てくるでしょう。
そうして流し台を汚されてしまえば、次に利用する人は罪悪感を感じずにルールを破るようになるでしょう。
もちろんルールを破る人が悪いのですが、守れないようなルールを掲げる運営側にも問題があります。
どうしてもバーベキューグリル等を洗わせたくないなら、このキャンプ場をバーベキュー禁止にすべきです。
自分達の食材を売りたいがためにバーベキューを推奨しておきながら、
道具を洗わせないとか無茶過ぎます。
この点は今後の再考を強く訴えたいと思います。
そういう意味ではゴミに関しても同様です。
ゴミの処理費用をかけないことにより、このキャンプ場のフリーサイトや電源サイトの利用料金は格安に設定できているのでしょう。
ですが自分のように連泊をする利用者が生ゴミを、自分達で保管し続けるのは流石にキツいのが本音です。
結局は生ゴミが出ないような料理ばかりを選択するしかなく、かなり外食や惣菜に頼ってしまいキャンプらしさが薄れました。
利用者によるゴミの分別はもちろん、有料化しても良いので(いやむしろ有料化すべき)、キャンプ場側でのゴミ処理を再考した方が良いのでは無いかと思います。
そんな感じで今回は隣接するスーパーを活用しまくりました。
先ず到着した初日の夕飯は惣菜のお寿司。
価格の割に美味しかったです。
翌日の夕食はハニーマスタードチキン
翌々日はシュクメルリ
実はどちらも冷凍の素材を使いました。
保冷剤代わりにもなって一石二鳥!
まぁ味はやはり自分で一から作った方が美味いのですが、お手軽なのも間違いない。
先述したように生ゴミを出せないと言う事情もありましたし。
参考までに本来のシュクメルリのレシピは→こちら
朝は我が家定番のホットサンド
最終日はホットサンドすらも作らず、ただ冷食をパンに挟むだけ!
もう手抜きをしまくりでした。
合間に暑くなったらアイスを買ってきたりと、1日に2回以上はスーパーに足を運んでいました!
こうして利用してみると、スーパーいちいは本当に良いスーパーだと感じました。
食品売り場が清潔で品揃え豊富。
洗えないのにバーベキューを推し過ぎなのはどうかと思いますが、でも本当にキャンプ向け食材は充実していましたね。
キャンプ用品も色々揃えていますが、価格はかなり割高なのは仕方ないかな?
そうしたスーパーいちいが良いお店なのはもちろん、併設されているHN HIRANAGA COFFEEもかなりお洒落!
ただし価格はけっこう高額。
本日のコーヒーでたしか850円だっけかな?
味は価格相応の美味しいスペシャリティコーヒーで、雑味の無いとても飲みやすいコーヒーですが、自分の好みだとこの価格ならもっと豆の個性を出して癖強めのコーヒーの方が好み。
スィーツも充実しています。
ブレックファストプレートも美味しそうだったので、もう少し朝早くから営業してくれていれば朝食は作らずにここを利用しても良いかな?と思えた。
コインランドリーも併設されていたので、自分のように連泊している人にはありがたい。
そして感心したのが、HIRANAGA COFFEEさんの奥にあるスペース。
その名も「学viva(まなびば)」
名前からすると勉強だけするための静かな場所かと思いきや、3つのスペースに分かれていて手前は飲食の持ち込みも可能でただ雑談していても良いそうです。
ちなみに学生だけに限定せず、大人の利用も可能だそうです。
しかも利用料は無料で、事前の予約とかも要らない!?
この奥は個人で分けられているので、静かにしましょう。
こうしたスペースがスーパーマーケットの施設内にあるのって凄くないですか?
もちろん自治体の補助を受けて運営しているのですが、そうは言ってもこれだけの場所=土地を提供するのは並大抵ではありません。
地域に根ざして、地域を盛り上げようとするその姿勢に感動しました。
こうした施設とキャンプ場の間にも、ワンクッション空間があります。
こんな素敵な空間を用意してくれるなんて、いちいという企業は本当に凄いと感じます。
そう考えると、バーベキューグリルなどが洗えないのは、つまらない利益優先からの発想ではなく、本当に環境を考慮してのものなのかもしれない。
キャンプ場を運営する「いちい」が単にキャンプの基礎的なものをよく理解しないままグランピング施設を作ろうとし、そのついでに電源サイトやフリーサイトを作ったので、システム的に問題を抱えてしまったのかもしれない。
グランピング用のウッドキャビンやドームテントに備え付けのバーベキューグリルは洗わずにそのままで良いのかもしれませんね。
とは言え「安価な利用料の電源サイトやフリーサイトの客には何も文句を言う権利が無い」なんて事は無いはずなので気が付いた問題点はしっかりここで言わせていただきます。
自分が感じた他の不満点は、景観です。
「街中キャンプ」というコンセプトとは言え、もう少し周囲の住宅は見えにくいようにして欲しいです。
フリーサイトというかキャンプ場全体も電源サイト同様にウッドフェンスで囲われているのですが、そのくらいの高さでは周囲の住宅が見えるのです。
周囲の住宅はそれほど全高が高くは無いので嫌になるほど目立つわけではありませんが、ただまぁ周囲は住宅街なのだとは感じます。
わかりやすい写真は撮っていなかったので、雰囲気が伝わりにくいでしょうがまぁこんな感じで屋根とかが見える。
2階の窓からキャンプ場が丸見えというほどでは無いので、神経質になるほどではないけどキャンプという雰囲気は薄れる。
壁沿いにビッチリ高い樹を植えろとまでは言いませんが、もう少し考えても良いと思います。
それとフリーサイトの中間点くらいに大きめの樹が2〜3本はあっても良いと思うんです。
繰り返しになりますが、街中キャンプとは言えもう少し自然を感じられうような雰囲気の方が良いと思います。
それとキャンプ場内で作業する人達にはもう少し親しみやすさがあった方が良いでしょうね。
最終日=チェックアウトする日は朝から場内の芝を刈る作業をされていたのですが、正直に言えばうるさかった。
綺麗な芝の維持のためには定期的な手入れが必要だし、それは平日昼間にやるしかないのは理解出来る。
炎天下の中、暑くなる午後に作業をしろとも言いません。
ですが利用者がいる時間に電動で芝を刈るなら一言くらい、声をかけるのが礼儀じゃないですか?
小さな小さな小砂利だとは思いますが、自分たちのテントにピシピシと当たって音がしていました。
それで穴が空いたりまではしていませんが、あまり気分の良いものではありません。
芝を含め、とても綺麗に設備等は管理されていますが、設備を綺麗にするのは経営者のためですか?
自分のお気に入りのキャンプ場に北軽井沢のスウィートグラスがありますが、あのキャンプ場では場内の作業員の方々でも必ず向こうから挨拶をしてきます。
ホスピタリティってそういう小さなところに現れるんだと思います。
学vivaのような素晴らしいスペースを提供できる企業が出来ないはずは無いと思います。
このキャンプ場って出来て間もないから仕方ないのかもしれませんが、最初がグダグダでは慣れてきたらもっとグダグダになるだろうと思います。
経営者の方々は、他のグランピング施設の上っ面ではなく、評判の良いキャンプ場の本質をもっと感じてそれをフィードバックして欲しいと思います。
この施設は、キャンプ好きな人が設計したのではなく、お洒落な流行ものが好きな人が設計したんだろうなと感じました。
第一印象は良い雰囲気なのですが、是非また利用したいという感動は残念ながらありませんでした。
移動や日程に都合が良ければまた利用する事はあるかもしれまんせが、積極的に「ここでなければ」という気持ちにはなれませんでした。
かなり辛口の感想を述べてしまいましたが、非常に惜しいと感じたからこそ、あえてここまで記しました。
地域の人達にとっては、フリーサイトや電源サイトは綺麗なのに安価で利用しやすい施設だと思います。
利用者に愛されるキャンプ場となるために、出来れば頑張って欲しいと切に願います。
この記事が利用者と運営双方にとって役立つものとなってくれれば幸いです。
–関連記事–
コメント