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万が一の火災に備えよう!

数日前から一部ネットで話題になっている事故がありました。
いわゆるユーチューバーのような女性が、生配信中にガスボンベを爆発させたそうです。
彼女の行動に色々と批判が集まっているようですが、自分は彼女を批判したくてこの記事を書くわけではありません。
一部始終を見ると確かに色々と問題行動はあります。
でも今更彼女を責めてもあまり意味が無いのではないでしょうか?
我々一般キャンパーがこうした事故から学ぶべき事は「同じような事故に遭遇した時にどんな行動をとるべきか?」だと思います。
自分自身と家族や仲間を守るための行動がとれるように、正しい知識を身につけることが重要だと思います。
その為にはまずはどんな事故だったのか出来れば動画を見たほうがわかりやすいかもしれません。
「生配信中にガスボンベを爆発」でgoogle等で検索をかければ問題動画は見られます。
しかし彼女自身は問題動画を残していないので、これらは無許可で転載している方々だと思われます。
自分は無断転載はしたくないので、興味のある方は検索して視聴して下さい。
まず彼女はAmazon等で購入したと思われるガスコンロを取り出します。
画像で見ると、下記の商品だと思います。

屋外折りたたみカセットコンロ【2.8KW激火ストーブ】アイロン ストーブ アウトドア バーナー 小型正方形 シングルバーナー キャンプ用ガスコンロ OD缶/CB缶対応 防風 高効率発熱量 スミニストーブ バーナー ハイパワーストーブ ガスタンクストーブ バーベキュー・炒め物・しゃぶしゃぶ兼用 省エネと 安全機能 (1)
問題行動1.初心者が激安な製品を使用する。
後に多くの人が指摘していますが、この製品は日本の安全認証機関の検査を受けていません。
日本の認証機関は非常に厳しい検査がほとんどなので、合格していれば安全性が見込めます。
しかしそうした検査には多額のコストがかかり、それは製品の価格に反映されます。
安価な中国・韓国製の製品はそうした検査を受けていないものがほとんどです。
もちろん日本の認証機関による検査を受けていなくとも、安価で安全な製品もあるでしょう。
しかし初心者がそうした良し悪しを見抜くのは難しいでしょう。
当人が見抜くのが無理ならば、情報誌や情報サイトを参考にと考えるかもしれませんが、その情報誌・サイトを運営している人がどれだけ正しい情報を提供しているのかは初心者にはわかりません。
例えば今回の事件の後に、「MONOQLOにワーストバイとして紹介されている」と指摘している方がいましたが、該当記事を見ると「点火スイッチが壊れた」ことをワーストたる一番の理由にあげています。
他にも輻射熱に関する危険性も指摘はしていますが、今回の事故はそれが原因ではありません。
要するにこの記事を読んでいても事故は防げなかった可能性が高いのです。
自分も絶対に正しい情報しか提供していないとは言い切れません。
記載漏れや勘違いによるミスも十分にあり得ます。
ある程度慣れた人間故の思い込みもあるのです。
初心者を含め広く万人に支持されてきた商品というのは、やはり実績があります。
対応策.初心者は割高でもいわゆるメーカー品の定番商品を購入するのが無難。
この場合で言えば迷わず岩谷製品を選んどけって話です。

イワタニ カセットフー アウトドアこんろ タフまる CB-ODX-1
問題行動2.使い方を知らないまま使おうとする
次に彼女はこのガスコンロにCB缶を接続しようとしますが、上手く嵌りません。
「シュー」ガス漏れの音は聞こえるし、彼女自身「臭い」と異臭に気がついています。
なのに強引に嵌め込んだら、すぐにライターで点火してしまったのです!?
後にカセットボンベ=CB缶は構造的に切り欠きを必ず上に向けて接続しなければならないと指摘してる人がいました。
はい!その通りです。

でもですね、激安な中韓製品だと上の写真のように必ず凸部があるとは限らないんです!?
普通の人はこうした切り欠きに合わせて嵌めるのが当然だと思っているので、缶の上下を考えていない人も多いのではないでしょうか?
おそらく彼女もそうした上下を考えずに切り欠きを下にして嵌めた可能性があります。

CB缶の内部構造は上図のようになっているので、切り欠きが上なら気化ガスが噴出しますが、切り欠きを下にしてしまうと液化ガスが噴出することがあります。
液化ガスとはガスを圧縮したものですから、これに引火すると非常に強い火力で危険なのです。
そうでなかったにしろ、とにかく正しくガス缶と接続されていなかったのが今回の原因です。
そうした正しい使い方を初心者が、初見で完全に把握しているかと言えば、それは疑わしい。
対応策.使ったことのない道具は説明書をよく読む、
出来れば本番前に一度練習をしておく。
日本語の説明書がついていないような製品など言語道断でしょう。
中古で購入したから説明書が無いなんてケースもあるかもしれませんが、日本のメーカーだとホームページからダウンロード出来る事が多いです。
とにかく説明書は一度ちゃんと読みましょう!

問題行動3.対応の過ち
ライターを近づけると同時にガスに引火して炎上したのですが、彼女はキャーキャー騒ぐばかりで何も対応が出来ません。
実はこれ仕方ないと思います。
別に彼女を擁護するつもりはありませんが、初心者はこんなもんです。
パニック状態に陥って慌てふためくばかり。
この記事を読んでいる方も、いざ炎上した時に落ち着いてしっかりした対処をとれる自信がありますか?
こういう時は経験がものを言います。
一度でも実体験をすると、何をすべきかを過去の経験から導き出せるのでそこまで慌てません。
実体験が無くても、そうした事故を見聞きして頭の中でシミュレーションしておくことによって、いざという時のパニック状態を緩和することは出来ると思います。
今回この事故を紹介したのも、そういう理由からです。
事故を起こしてしまった彼女のことをただ嘲笑うだけの人は何も学びとれないと思いますが、自分がこの立場だったらと考える人ならば、きっと何か得るものがあると思います。
自分は専門家では無いので絶対の自信はありませんが、これが正しい行動ではないかと思える対処を記載していこうと思います。
皆さんも自分ならばどうするかを考えながら読んでみて下さい。
対応策1.とにかくバルブを閉める
消火方法にはいくつか方法が考えられますが、他の方法で消火しても燃料が漏れたままではまた引火する危険性もあります。
なのでバルブを閉めるのが先ず最初にとるべき行動だと思います。

彼女はどちらに回したら閉まるのかよくわからずに行動していましたが、さすがにそれでは危な過ぎます。
点火前にしっかり確認しておきましょう。
逆を言えばそれが分からないのなら、点火してはいけません。
燃え盛る炎に近づくのには勇気がいることでしょう。
その恐怖心を抑えるためには耐熱手袋を近くに用意しておくべきです。

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あるいは爆発したらという恐怖もあり近づくのに躊躇いもあるでしょう。
爆発したら火傷だけではなく、飛び散る金属片による裂傷もありえ、しかもそれが広範囲に及ぶので大変危険です。しかしこうした火器類はそうそうすぐには爆発はしないものです。
今回の事故でもキャーキャー騒ぎながら数分はもっています。
とは言え数分後には爆発しているわけですから、炎上したらとにかく早めにバルブを閉めましょう。
もし閉まらない、または時間がある程度経過してしまったらバルブを閉める作業は諦めて、次の行動に移りましょう。
また漏れている箇所が別にあれば確実に消火できるとは限らないので、すぐに消火できなくても慌てないようにしましょう。
少しずつ火勢が衰えているようならば、そのままでも鎮火するかもしれないのでしばらくは様子を見ても良いかもしれません。
バルブが閉められない、もしくは閉めても火勢が衰えない場合は第2段階の対応をとります。

対応策2.消火器を使う

動画の彼女はもちろん、ほとんどの人が「そんなの用意していない」と思うでしょう。
だったら次のキャンプまでに用意しておけば良いのです。
この後に他の消火方法も紹介しますが、一番確実で安全な消火方法は間違いなく消火器です。
消火器と言ってもいくつか種類があります。
一番確実なのは業務用の粉末式です。

モリタ宮田工業 蓄圧式粉末ABC消火器 UVM10AL
モリタ宮田工業 蓄圧式粉末ABC消火器 UVM10AL
消火剤の質が良く量も多く、ほとんどの火災に対応できます。
その上、蓄圧式で残量によっては再噴射が可能、しかも使用期限が製造から10年と長寿命なので意外とコスパも悪くありません。
ただ如何せん大きく重いので持ち運びが面倒。
それに目立つのでキャンプの雰囲気を台無しにしかねない。
その上、消火剤が広範囲に広く飛び散るので、後の始末も大変です。
屋外ならば気になりませんが、テント内だったら後始末はかなり大変です。

そんな不安を持たれる方には住宅用の液体消火器も悪くありません。

モリタ宮田工業 住宅用強化液(中性)消火器 キッチンアイ ルビーレッド MVF1HAR
モリタ宮田工業 住宅用強化液(中性)消火器 キッチンアイ ルビーレッド MVF1HAR
消火剤は食品添加物をベースに作っているので体にも安全で、消火後は拭き取るだけですみます。
大きさも業務用に比べてやや小振りですし、筐体の色が赤以外の色も選べるので目立たせずに済みます。

MORITA ニューリトルファイヤーペット VF1HA
MORITA ニューリトルファイヤーペット VF1HA
ただ量産効果が薄いのか実売価格は高額です。
使用期限は5年とやや短く、コスパはイマイチです。

手軽さならば、火消しスプレーでしょう。

丸山製作所 消火スプレー 火消しスプレー 日本製 エアゾール式簡易消火具 消火器 スプレー 家庭用
丸山製作所 消火スプレー 火消しスプレー 日本製 エアゾール式簡易消火具 消火器 スプレー 家庭用
住宅用液体消火器よりも更に軽くてコンパクト。
単価も安くて購入に対してもお手軽です。
ただ肝心の消火能力はそれほど高くなく、用途も限定的です。
(ほとんどの商品が天ぷら鍋火災を想定しているようです)
要するに確実に消えるとは限らない・・・
(今回の事故程度なら初期消火できたと思います)
それと使用期限も3年と短い製品が多いので、意外ととコスパはそれほどではありません。
まとめとしては、見た目と重さを気にしないなら業務用粉末式、コスパを気にしないなら住宅用液体式、効果に一抹の不安は残るけれど手軽さ優先なら火消しスプレー。
そんな感じだと思います。
ここで日本語の説明書も付いていないような怪しい消火器具を選んじゃダメですよ!

対応策3.人を呼ぶ
ちなみにマトモなキャンプ場でしたら、管理棟に消火器は備えていると思います。
管理人を呼んでいる間に延焼する可能性があるので事故現場を留守にするのは問題です。
複数人いる場合は誰か呼びに行ってもらう、一人ならば管理人に電話をするなどの対処を考えても良いと思います。もちろん後で管理人から叱責を受けることでしょう。
でもそんな事を恐れてもっと大事になったら叱責では済まず、高額の損害賠償や自身の生命の危険もあり得ます。
起こしてしまった失敗は悔やんでも仕方ありません。
それ以上失敗を重ねないためにも、早めの救援を呼ぶのが正解です。

対応策4.火元を水に沈める
バケツ等に水を張り、その中に火元となっている器具を沈めるのです。
火災の大半は気化した燃料に引火するのが原因です。
水に沈めてしまえば気化しません。
即ち火が付かないのです。
水に浮くオイルですと、その脂分に引火する可能性がありますが、危険性はだいぶ下がります。
しかし開口部が大きくある程度の深さのバケツ等が無ければ、器具類を沈めることは出来ません。
それもポリバケツ等では燃えて穴が開く可能性もあります。
金属製のバケツが好ましいと考えられます。

コーナンオリジナル 消火バケツ8L LFX-21-1103
コーナンオリジナル 消火バケツ8L LFX-21-1103
近くに川や池が有れば、間違い無いのですが・・・
必ずしも条件が揃うか不明な、手段なわけです。
また燃え盛る器具を直接持って移動しなければならないので、かなり勇気のいる作業です。
この方法も実行出来ないようでしたら、更に別の手段を講じましょう。

対応策5.濡れタオルをかけてから、水をかける
一番安全確実な消火器を用意していない、管理人も常駐していない、火元を水に沈める事も出来ない。
そんな場合は別の対応を考えなければなりません。
Tシャツやバスタオル等の大きな布を水で濡らして火元を覆うのが有効だと思います。
水で濡らさないと、ただ燃料をくべるのと同様になるので、必ずビショビショになるまで濡らしてからかけて下さい。
空気=酸素を遮断してしまえば鎮火が早まります。
そしてその布の上から更に水をかければ、より迅速な消火が期待できます。
ただしこの方法は火元を完全に覆うのが肝です。
例えばテーブルの上にガス器具を置いたりしていたら、バスタオルくらいでは下方に隙間が出来る可能性があります。
そうなるとその隙間から酸素が供給されるので自然消火は望めません。
それでも何も布をかけないよりは有効だと思います。
炎が高く上がらない=延焼を防ぐ効果も期待できるからです。
また視覚的に大きな炎を見なくて済むので、冷静に振る舞うことが出来るようになります。
大きな炎を見るだけで慣れていない人はパニック状態に陥りますからね。
自然消火しなくてもバシャバシャ水をかければ、初期火災ならば消火できる可能性が高いです。
その為にも、バケツ等に水を張っておく。

Freegrace 折りたたみ式 バケツ 持ち運び 畳めるデザイン 水の容器 水汲み 軽量 丈夫 便利 メッシュポケット付 複数色 複数サイズ コンパクト (カーキ (蓋), 10L)
Freegrace 折りたたみ式 バケツ 持ち運び 畳めるデザイン 水の容器 水汲み 軽量 丈夫 便利 メッシュポケット付 複数色 複数サイズ コンパクト (カーキ (蓋), 10L)
実際にはこの程度の水では足らなくなるので、ジャグやペットボトルの飲料水も放水する。
そうやってどうにか消火するしかないのです。
肝心なことは、とにかくパニック状態に陥らないこと!
慌てていると、例えばバケツの水を放水し終えるともうお終いと思い込んでしまいがち。
実際にはジャグに飲み水が残っていたなんてあり得ますよね?
準備が完璧でなくとも、冷静にいられれば次善策を考えれるものです。
そうやって慌てずに済ませるには先述したように、経験を積むのが一番です。
実は自分は数回炎上を経験しています。
初めての炎上は忘れもしない、20年ぶりに復活した最初のキャンプ=河津七滝オートキャンプ場でした。
20年ぶりに使ったMSRのウィスパーライトがパッキンからガソリン漏れして、そこから引火して炎上したんです。

正直かなり焦りましたね。
でもまぁ20年前は本当に使い倒していた道具なので、パニックになるよりも先に自然と体が動いたって感じでバルブを閉めていました。
けっきょくこれも経験が重要ってことです。
使い込んだ道具なら、いざという時に頭で考えるよりも体が操作を覚えている。
件の彼女も炎上した後にしっかりカメラアングル直しているんです(そこもまた突っ込まれていましたが)、良い悪いでは無く考えるより先に自然と慣れた行動を取るもんなんですよね。
そういう意味では、自分は初めての炎上が使い慣れた道具だったのが不幸中の幸い。
とは言え、バルブを閉めてもすぐには消火せずに、それはそれでまた焦りましたが(苦笑
水をかけるかどうするか考えている間に、少しずつ火の勢いが弱くなってきたので様子を見ることにし、その後に完全消火しました。
もちろん褒められた失敗ではありませんが、これで炎上という経験を1つ実体験したのは強みです。
これを機に、いざという時にどうするべきかを考え、消化器などの予防策もとるようにしたわけです。
この後もペトロマックスのHK500を何回か炎上させているんですが、ブッチャケもう全く慌てません。

ガソリンですらすぐには爆発しないことが実体験としてわかったんですから、灯油なら尚のこと余裕があるのは事前に調べて理屈としてわかっていました。
とにかくバルブを閉める!
これを実行すれば、大概自然消火する
そして早めに対処すれば道具が壊れることも無く、問題箇所さえ直しておけば次も使える。
どうしても自然消火しなければ消火器もある。
最悪の事態に陥る前には管理人を呼ぼう
これだけの事が分かっていれば、慌てる要素なんてどこにも有りません。
実際には消火器を使うまでに至ったことはまだ一度もありません。
自分の体験を読んで、「じゃぁ炎上してもかまわない」と誤解されては困りますが、過剰に慌てる必要は無いことはご理解いただけたと思います。
いつも繰り返していますが、安全で楽しいキャンプを過ごして欲しいと切に願います。
この記事が、その一助になれば幸いです。
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