その際に伐採した枝・幹をもらい受けて乾燥させ薪にして焚き火にしているのは時々お話ししています。
そんな雑談の中で、2月に伐採した葛(クズ)のツルを薪にしてみようという主旨の話しをしたことがあります。→リンク
漢字で葛と書くと、葛餅や葛根湯のイメージで役立ちそうですが、そうした食品・薬の原材料に加工されるのはごく一部でほとんどの葛は厄介者扱いです。
(ちなみに、それらの原料にされるのはツルではなく根です)
葛は豆科のつる草で、とっても強い繁殖力を持ち、他の木や草を覆い尽くしてしまうからです。
こんな風に先住の樹木に絡みついて樹上に出たら葉っぱで覆い尽くして、樹木の光合成を妨げてしまうのです。
元は細いツルですが成長すると↓こんな太い枝のようになってしまいます。
公園整備をする人間にとっては厄介者ではありますが、ここまで太くなれば薪として有効活用出来そうだと思ったわけです。
自分達のボランティア団体ではシュロ・ヤツデ・アオキ(青木)は無条件で伐採対象と決めています。

これらの植物は陽が当たりにくい場所でも生育し繁殖力が高いので、先に植林された樹木を駆逐してしまう危険性があるからです。
葛やアオキも自然の一部ではありますが、管理された生活圏内では邪魔者として扱われることが多いのが現状。
でも人間の都合で伐採したならせめて有効活用くらいは出来ないものかと自分は思うのです。
自分のような素人がそんなに大それた難しい事は出来ません。
せめて薪として燃やせたら少しは意味があるのではないかと屁理屈を捏ねているだけかもしれません。
そんなアオキも6月に伐採したので同様に乾燥させてみました。

細すぎる枝は厳しいけれど、このくらいの太さなら薪になるかもしれません。
葛がカビてしまいました!?

下は樫の木かな?同条件でもそちらはカビていません。
少し前までは、むしろ葛の方が風通しの良い場所で乾燥させていたんですが、ちょっと場所を変えて雨除けのビニールをかけた状態で数日雨が続いたらこの有様です。
同じような乾燥方法でこの数年間やっていますが、こんな事は初めてです。
要するに葛はカビやすいのでしょうね。
じゃぁ含水率が高いのかというと、そういう事でもないような気がします。
含水計測器を所有していないのであくまで推測ですが、葛は目も詰まっていませんし細いせいもあってほとんど乾燥していたような気がするんです。
だけど雨で表面に水分が付き、カビの栄養源となるデンプン質が豊富なせいでカビたんじゃないかと推察しています。
これはもうサッサと焼却処分、すなわち焚き火で燃やしてしまいましょう!
というわけで先日の芦ノ湖キャンプで焚き火をしてみました。
先ずは葛単独で燃やしてみようと思ったのですが・・・
なかなか火が起きません。
着火剤を使えば表面は燃えるのですが、芯まで燃えません。
煙も多いし、これでは周囲に迷惑をかけてしまいます。

何の苦労も無く、簡単に着火しました。
火力が上がると葛も勢いよく燃えます。
火勢はやや強めで、火持ちは細さの割りに悪くはありません。
この火力ならば煙が特段多いということもありません。
匂いは特に良くも悪くもありません。
煤はやや多めかな、でも松のように油煙がこびり付くような事もありません。
総じて、焚き付けには向かないけれど充分に薪として使える事がわかりました。

アオキだけで火を起こしたわけではないので断言は出来ませんが、葛よりは火が起きやすい印象を受けました。
細い枝とは言え、アオキはわずか3ヶ月くらいしか乾燥させていないにも関わらずです。
火勢は普通で、火持ちも細さを考慮すれば悪くありません。
煙も特段多いということもありません。
匂いは特に良くも悪くもありません。
こちらも普通に薪として使えそうです。
細いからというのもありますが、3〜6ヶ月で乾燥も問題無さそうです。
そうした中では「薪には広葉樹」とよく耳にします。
その広葉樹の中でも特にナラ・クヌギがもてはやされているような印象があります。
実際に火持ちが良いし、煙も少なめで薪として使い易いのは間違い有りません。
でも火持ちが悪ければ早めに薪をくべていけば良いだけではありませんか?
周囲に迷惑をかけるほどの煙は問題ですが、そこまでいかなければ屋外ならば煙を気にし過ぎるのもどうかと思います。
(薪ストーブだと煙突内にクレオソートが付着すると面倒なので松などはお勧めしません)
煙の多い少ないはどちらかというと乾燥が足りない個体の問題だと思います。
焚き火中に爆ぜたりする危険性も、乾燥が足りないのが原因でしょう。
要するにしっかり乾燥さえしてあれば、ナラ・クヌギでなくともほとんどの木が薪になるんです。
今回紹介した葛・アオキを薪として活用しているのをネット上でも見かけません。
でも実際に燃やしてみれば薪として充分に使えることがわかりました。
商業的には決して効率的だとは思いませんが、自然に親しむという観点ならばそんな木を活用しても良いんじゃないかと思うんです。
流行りの焚き火台をとっかえひっかえするのも趣味のことですから何ら悪い事と思いません。
でも邪魔者扱いの植物を自分で薪に育て上げるのもなかなか楽しいもんですよ。
世界にはいろんな植物があって、いろんな楽しみ方がある、そんな多様性のある方が自分は好きなんです。