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100均のソリッドペグ

*この記事は2021.06.25.に書いたものを2023.05.15.に加筆修正したものです。

100均キャンプ用品の充実は目を見張るものがあります。
今回紹介するのはセリア・ダイソーから売り出されたソリッドペグ(鍛造鉄製ペグ)です。

ソリッドペグの元祖はスノーピークのソリッドステークです。

それまでは軽量製が優先され、ともすれば使い捨てのように考えられていたペグを重くても構わないからとにかく頑丈な鍛造鉄で作って貫通力を高め岩をも砕くペグとして製作したのです。

スノーピーク(snow peak) ペグ ソリッドステーク 20 R-102

誕生が1997年、意匠権も切れているので多くのコピー商品も登場し、代表的コピー商品のエリッゼステークと訴訟にまで拗れているのは記憶に新しいところ。

そうした悶着を尻目にAmazonでは中華製の鍛造スチールペグが本家の半額〜1/4前後の安価な価格でたくさん売られています。
Soomloom スチール ソリッド テント ペグ テーク 30CM キャンプ設営用具 8本1セット/16本1セット (30cmブラック16本セット収納ケース付き(バージョンアップ))
Soomloom スチール ソリッド テント ペグ テーク 30CM キャンプ設営用具 8本1セット/16本1セット (30cmブラック16本セット収納ケース付き(バージョンアップ))
ともあれ意匠権が切れている以上は問題無いと判断したのか、100均のセリアからもソリッドペグが販売されたのです。

セリアのソリッドペグは長さが20cmクラスで色は黒と赤の2色展開。
地面に埋め込んだペグは目立たない色だとよく紛失しがちですが、赤だと目立つので紛失の恐れがいくぶん減るのでお勧めです。
更に2023年春以後はカラーバリエーションとして緑とピンクが増えました。

まぁ緑は芝生サイトなどでは目立ちにくいのですが…
とにかく好みに合わせて選べる種類が増えたのは良いことです。
20cmという長さはペグとしては地中での保磁力が強いとは言い難く、タープや大型テントには不向きと言われています。
しかし小型のテントなどでは普通に使われるサイズなので、ご自身の使用用途によっては十分に使えるサイズです。
自分は小型テントにはもちろん大型のワンポールテントにまで使っていたことがあり、以前から20cmクラスのソリッドペグは複数ブランドの使用歴があります。
例えば、安価な中華ブランドの中では比較的安定した評判のSoomLoomのスチールソリッドペグを以前から所有していました。
当時は20cmクラスでは黒と黄色の2色を販売していたので黄色を購入。

購入した2020年6月当時はAmazonで16本と収納袋のセットで1690円でした。
税込110円のセリアよりも1本あたりの価格は収納袋を除いてもSoomLoomの方が安かったのですが、中華製品は価格の変動が激しく最近は1.5倍くらいに値上がりしているようです・・・

Soomloom スチール ソリッド テント ペグ テーク キャンプ設営用具 20CM …
なので現在はセリアの方がかなり安価ですね。
安くても質が劣るようでは困るので、しっかり比べてみましょう。

先ずは外見から

上からエリッゼステーク(28cmと長さは大きく違いますが比較のため)
2番目が元祖のソリッドステーク
3番目が中華製SoomLoom
一番下がセリア

エリッゼステークは長さが全然違うので比較になりにくいのですが、下の3本はけっこう太さが違うと感じませんか?
実際にノギスで測ってみると
ソリッドステークは楕円形状なので6.2〜7.6mm
SoomLoomは約9.9mm
セリアが9.1mm

ソリッドステークの細さが際立ちますが、セリアとSoomLoomでも0.8mm違うとけっこう印象が違いますね。
長さも20cmクラスと言えど微妙に違って
ソリッドステークが20.1cm
SoomLoomが19.9cm
セリアが20.6cmでした。

保持力を重要視するなら、太さは太い方が保持力が高く抜けにくい。
そして、地中に刺さっている部分が長いほどしっかり保持しますから全長は長い方が有利です。
ただこのあたりの太さ・長さは個体差があると思うので、あくまで参考程度にお考えください。

重さは
ソリッドステークが75.3g
SoomLoomが122.0g
セリアが117.1gでした。

(写真は個体差による誤差を考慮して4本乗せて計測しています)
すなわちソリステはとても細くてとても軽い、SoomLoomは太くて重い。
セリアはやや太くてやや重いってところでしょうか。
普通に考えると太くて重いSoomLoomが一番頑丈だろうと思いがちですが、そうとも限りません。
長さの違う30cmクラスですがSoomLoomの30cmとエリッゼステークの28cmを岩混じりの硬い地面で同じように使った事があります。
エリステの方がスッキリと岩を砕いていく感触がありましたが、SoomLoomは鈍く押し当たる感触で、何度も打ち込んでやっと砕いた感じです。
ペグを抜いた後に先端を見比べると、明らかにSoomLoomの方が押し潰れていました。

まだセリアのソリッドペグはそうした硬い岩で使っていないので断言はできませんが、SoomLoom同様に日本製のソリステ・エリステには一歩いや二歩劣るような感じがします。
ちなみに柔らかい芝地でたった一度打ってみて引き抜いた後の表面の削れ具合がこんな感じ。

他ブランドのペグは既にもう何度も使い込んでいるので比較のしようがありませんが、たった1回柔らかい土でけっこう傷ついたなという印象。
もちろん塗装の剥がれとペグとしての硬さは別物ですが、でもまぁ推して知るべしって気もしますよね・・・

要するに細くて軽いソリステ・エリステの方が太くて重い中華製・セリアよりも硬くて頑丈って事です。
とは言えそこらへんのアルミペグよりはよっぽど頑丈ですし、今まで中華製のSoomLoom鍛造スチールペグでもなんとか岩を砕いてこれているので、セリアも同様に岩が砕けるんじゃないかと予想しています。
まだそうした場面に遭遇していないので、あくまで予想です。
申し訳ありません。

もう少し細かなところも見てみましょう。
ガイロープを引っ掛けるフック部です。

ソリステ・エリステはペグの円柱部本体と一体成型、それに対しセリアや中華製SoomLoomは安価なプレス抜きのパーツを溶接しただけの貧弱な作りです。
なのでソリステ・エリステと比べてもあまり意味が無い。
主にセリアはSoomLoomと比べるべきでしょう。

中華製SoomLoomフックの薄っぺらさがよくわかりますね。
セリアはソリステと大差無いほどにしっかりしたフック(だけど溶接)
その溶接部をSoomLoomとセリアを比べて見ると・・・

溶接もセリアの方が綺麗でしっかりと付いています。
まぁ溶接に関しては個体差があるものですが、セリアは8本全部だいたい同じように綺麗です。
SoomLoomは16本全部見るともう少し綺麗なのもあるけど、全てセリアには劣るように見えます。
更にこのフックに空いている穴ですが、ソリステ・エリステでは抜きにくい時にこの穴にペグを刺して回し抜くことを想定していて空けてあるのです。

セリアのソリッドペグも同様に使えます

しかしSoomLoomの20cmは穴が小さくてペグが通らないのです。

「SoomLoomはパラコードが付いてお洒落だな〜」じゃないんですよ!
ちなみにSoomLoomも自分が所持している4〜5年前に購入した30cmのペグは少しきついけれど刺せます。

何でも穴が空いていれば一緒だと思っているのでしょう。
中華製品でよく見かける、形だけ真似て意味がわかっていない例なんですね。

セリアだってSoomLoom同様に中国の工場で生産されているのです。
だけど日本の(株)フジサキという企業が企画・管理しているのでこうした差が生まれるのでしょう。
たとえ作る人(=工場)が同じでも管理者が変わると、出来上がる物は別物のように変わると聞いた事があります。
100均でも日本企業の安心感は健在です!

ここまで比べるともうハッキリしてきたと思いますが、ペグとしての優秀さは
ソリッドステーク>>>>セリア>>SoomLoomだと思います。
価格を考えればソリステが圧倒的なのは妥当と言えますし、自分が購入した時の価格だとしてもSoomLoomよりもセリアの方がお勧めです。
もちろんお財布に余裕があればソリステを選ぶ方が良いと思いますよ。
3割以上軽いのに強度は高いんですから。
だけどそうは言っても価格は3倍以上するわけですよ。
1本だけなら数百円の違いですが、多くのペグを使うテントで例えば10本必要なら数千円の差額になるわけです。
まぁ重さも約40g差が0.4kg差に拡大するんですけどね(苦笑

それとセリアのソリッドペグの良い点は、1本ずつのバラ売りだという事です。
アマゾンで売られている中華製ペグのほとんど全てが8本以上のまとめ売りです。
自分のテントに必要な本数とちょうど合えば良いのですが、合わないと無駄にたくさん買って余らせる事になります。
1本あたりでは安いと思ったのに、合計額では思ったほど安くならなかったなんてこともあり得るわけです。
あるいは紛失した場合には1本ずつ買い足すといった買い方も無理です。
それがセリアなら必要な本数を自由に選べて、出費を抑える事が出来ます。

ただし100均の商品はどれもコストをギリギリまで節約して仕入れているのが実情。
需要を見越して売り捌けそうな量を一度に大量生産して、出来る限り売り切ろうとします。
売り切れてもすぐには再生産せずに多くの需要が見込めるまで待つというやり方です。
なので欲しい時にいつでも在庫があるとは限りません。
何より廃盤となる可能性もあります。
その点はご注意を!

重さに拘らない&20cmクラスで済む小型テントの方にはかなりお勧めのペグだと思います。
とは言え、タープや大型テントにも使いたいと考える人には30cm以上のクラスが欲しいのが本音だと思います。
100円(税抜き)に拘っているセリアだと30cmソリッドペグの販売は難しいと思います。

ダイソーですと他の長さも数種類販売しています。

100円(税抜き)で15cm・20cm
200円(税抜き)で30cm・40cm
以上の4種類が現在のラインナップのようです。

でも、個人的にはダイソーのペグはお勧めしません
自分で40cmを試しに購入して使ってみましたが、ペグ本体というか地面に突き刺さる円柱部はセリアのペグと大差無いと感じました。
やはり元祖のソリステやエリステには劣るけれど、テントを固定する目的ならば十分実用範囲だと思います。

では何故お勧め出来ないのか?
ずばりフック部に問題があります。

撤収時に抜けにくいペグを抜く時は、抜きにくい時にフック部の穴にペグを刺して回し抜くのだと言いましたがダイソーのペグはそれが出来ない形状です。
それとこのフック形状だと、何本もまとめる時にうまく重ならなくて余計に嵩張るだろう事も予測できます。
ガイロープが外れないようにするフック本来の目的には支障の無い形状ですが、機能的に劣る形状なのです。
元祖であるソリステを真似て、安価な中国製鍛造スチールペグはほぼ全てこの形状なのに何故ダイソーはここを真似なかったのか?
エリステがソリステを模倣してスノーピークが訴えた影響があるのかもしれません。

しかし一番の理由はコストにあるんじゃないかと自分は考えています。
高額なソリッドステークやエリッゼステークは本体円柱部とフック部が一体になっています。
しかし安価なセリアや中華製ペグは安価なプレス抜きのパーツを溶接しただけの作りです。
なので誤ってハンマーで叩いたりすると溶接が剥がれ落ちたりする可能性もあるわけです。
ここはシッカリ溶接しなければならないので、技術的に難しいのではないでしょうか?
要するに熟練工の人件費がかかるのかなと思います。
それに対してダイソーの形状でしたら、穴の空いたパーツを円柱部に刺してチョンチョンと溶接するだけでフック部は固定できるわけです。
裏から見るとわずか2箇所しかスポット溶接されていないのが見てとれます。

これでは他社の製品よりも耐久性が劣る可能性が高いのではないでしょうか?
(実際にSNS等でそうした破損の事例は散見されます)

蓄光で光るペグマーカーなんて付けていますが、これも実際には役立たずですからね。

夜に暗くなって、ガイロープやペグに足を引っかけて危ないから光らせて目立たせる。
その発想自体は良いことです。
でもこんな安物の蓄光なんて長時間光ってられるわけがありません。
薄暗くなり出した頃はまだ注意力がシッカリしていて、そうそう引っかけたりしません。
お腹が膨れて注意力が散漫になった頃・子供が眠くなってきた頃・アルコールが入って酔いが回ってきた頃。
一般的には夜9時以後が危ないんじゃないでしょうか?
で、陽が落ちて2時間以上経った時にはこの蓄光リングはほとんど光っていませんでした。
同じダイソーで蓄光ロープなる商品を買った事がありますが、これも暗くなって一時間足らずで全くの役立たずだったのを覚えています。

それと目立つ色(=紛失しにくい色)のカラーバリエーションが無いのも残念です。
40cmを試しで購入したけれど、セリアのソリッドペグのようにアレコレ検証するのは時間の無駄だと思ってしまいました。

ダイソーの良いところって実店舗数が多いことだけど、必ずしも在庫があるわけでもないから、入手性が飛び抜けて良いとも言い切れないんですよねぇ…
ここまで競争力の低い商品も珍しいってくらい、お勧めできない商品って珍しいですね(苦笑
別にダイソーの製品が全て役立たずだという事ではありません。
自分も使っている良い製品がたくさん有ります。
ただ少なくともこのペグは全くお勧め出来ないと思っています。

自分が気が付かなかっただけでダイソーのペグも素晴らしい製品なのかもしれません。
もしそうした点があれば、是非自分にも教えて欲しいと思います。
教えていただければ、この記事も修正するかもしれません。

長さのバリエーション有無や価格までも無視して単純にペグとしての性能だけで比べると
エリステ>ソリステ>>>セリア>>Soomloom>>>>ダイソーだと思います。
価格を考慮した時のセリアの健闘ぶりと、入手性の良さしか取り柄がないダイソーの残念っぷりが際立ちます。
100均商品が話題の中心なのでコスパを重視してお勧めを考えますと・・・
20cmでしたら同じ価格で多色展開もしているセリアをお勧めします。
しかし30cmでしたらは100均は諦めた方が良いと思います。
じゃぁコスパ重視で何がお勧めか?
先ほどから比較していた中華製鍛造鉄ペグかと言えば、それも違います。
ちなみにまとめ買いになりますが、中華製鍛造鉄ペグのアマゾンでの相場は1本あたり約150円くらいです。

Soomloom スチール ソリッド テント ペグ テーク 30CM キャンプ設営用具 8本1セット/16本1セット (30cmブラック16本セット収納ケース付き(バージョンアップ))

ダイソーのペグよりも性能で優っていながら、価格はむしろ安価なわけです。
なのに何故これをお勧めしないのか?

最近(2023年春)これよりも更に優秀で、なおかつ安い商品が登場したのです。
Soomloomから登場したステンレスペグこれが圧倒的にイチオシです

Soomloomステンレスペグ ステーク テント・タープ固定用 一体化 長さ30cm キャンプ設営用具 ペグセット 8本入り

このステンレスペグは30cmが16本セットで1本あたり約124円!?(2023.04.08.現在価格)と激安!なのに実測99.5gと4割くらい軽量!?なのです。
今までは鍛造鉄ペグ並みの頑丈さを保ちつつもっと軽くしたいと思うとチタンペグを選ぶしかなかったのですが、そうすると30cmで1本700円以上と非常に高価だったのが、このステンレスペグはむしろ鍛造鉄よりも安いのです!?
ただしヘッド形状などによりやや打ち込みにくかったりと、全てが鍛造鉄ペグに優るわけではありませんが、我慢できないほど酷いわけではありません。
価格と軽量性は圧倒的に優位で、デメリットは許容範囲という、ちょっと信じられないくらいにコストパフォーマンスに優れたペグです。
チタンペグの事を鍛造鉄ペグの上位互換と称する人が多く見受けられますが、チタンペグの簡易版がステンレスペグのような気がします。
20cmもこのステンレスペグをお勧めしても良いかと思うのですが、30cmと比べると割高感が強いのです。

Soomloomステンレスペグ ステーク テント・タープ固定用 一体化 長さ20cm/25cm キャンプ設営用具 ペグセット 8本/16本入り

重くはなってしまいますが、多色展開と打ち込みやすさ、更にバラ売りで入手性も良い事を考慮するとややセリア優勢かと考えて、現在はセリアをお勧めした次第です。
でもちょっと長くなってしまいますが25cm版を16本まとめ買いするという手もあるかと考えるくらいに、このステンレスペグは本当にコスパが半端無く凄いです。
詳しくは別記事にまとめてありますので、興味のある方はご覧下さい。→リンク

ソリッドペグに関してはダイソーは完全に失敗作ですね。
15cmはうぅ〜ん何であんな長さを作ったのかな?
さすがに15cmじゃぁ固定力弱くて抜けやすいので、同じ価格なら20cmを選びません?
もっと細くて軽くてフックの形状が普通ならペグスカートの固定とか他にも用途があるけれど、どれも長さに関係無く同じ太さのようです。
だから短くても非常に重いので、大量に本数が必要なペグスカートなどの用途に向きません。
40cmは深く打ち込む事により強い固定力を期待して、軟弱地や大型タープ用に使いたいという人がいると思いますが、40cmは安価な製品がAmazonなどを探しても他に見当たらない。
なので、これだけはダイソーで妥協しても良いかと思って自分は試しに購入したのですが…
あの程度の製品でしたらステンレスペグを2本使ってダブルペグ打ちの方が効果的です。→リンク
要するに自分としてはダイソーの鉄製ペグはどれもお勧め出来ないと思っています。

安物買いの銭失いとならぬよう、お気をつけ下さい。

自分の書いた記事が皆さんのキャンプライフに少しでもお役に立てれば幸いです。
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コメント

コメント一覧 (2件)

  • >ヒロスケさん
    コメントありがとうございます!
    100均でソリッドペグって凄い時代になりましたよねぇ・・・
    よろしければお試し下さい。

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