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薪ストーブの煙突ガード自作

薪ストーブをテントにインストールする際に頭を悩ますのが、どうやって熱くなった煙突をテントから出すか?
自分のやり方を紹介しますので、参考にして下さい。
煙突・テントの構造により、最適解は変わりますので、あくまで自分の環境ということでご理解いただき、各自が工夫して下さい。
一昔前はテントに穴を空けて煙突ポートを設置する方法が多かったのですが、最近は出入り口等のファスナーから煙突を出す方法が多く見受けられます。
この方法だとテントに穴を空けずに済むのでお手軽ですし、ストーブを使わない時期に支障が出ません。
特にトリプルファスナーだと、任意の位置を空けておくことが出来てそこから煙突を出しやすいので薪ストーブとの親和性が非常に高い。
自分が薪ストーブをインストールするオガワのタッソTCやロッジシェルターもトリプルファスナー採用。
有名どころだと、現行のサーカスT/Cなどもトリプルファスナーです。
ただし煙突はストーブ本体に負けないくらい高温になるので、煙突が直接触れるとジッパーが溶けたり、最悪の場合はテントの生地が燃えてしまう可能性もあります。
そこでテントと煙突の間に空間を設けるために、煙突ガードを使用します。
煙突ガードはもちろん専用品の方が楽に取り付けられるのでしょうが、自分が愛用しているストーブ=ホンマ純正だとかなり高額。
要は煙突とテントが直接触れずに、また煙突ガード自体が燃えない素材であれば代用品でも十分機能を満たせる。
傘立てを流用して自作したり、皆さん色々と工夫しています。
自分は100均のセリアで購入したワイヤーラックを流用して自作しています。

このワイヤーラックをニッパで切り、2つ向かい合わせてダブルクリップで止めるだけ。
わずか10分くらいで出来る簡単工作です。

トリプルジッパーをしっかり閉めて煙突ガードを挟み込めば、ずり落ちたりしません。
なのでかなり雑な工作でも問題無いのです。
トリプルジッパーでなくても、煙突に挟むようにワイヤーラックを仮組みして、煙突の直径に合わせてカットする位置をマジック等でマークして、ちょうどの大きさに加工すればけっこうしっかり固定できます。
基本的には煙突がテントに直接触れなければ、機能は満たしていますが煙突の輻射熱もちょっと心配です。
輻射熱でジッパーを溶かしたりしたくないので、自分はタオルでジッパーを保護しておきました。

自分は元々暖房機としてではなく、炎を見たくて薪ストーブを導入したので、過剰な燃やし方をさせる気がありません。
ガンガン薪をくべて煙突が真っ赤になるような使い方を想定していないので輻射熱もそれほど高温にはならないはずです。
穏やかな燃やし方を心がけている限りは煙突ガードだけでも十分かと思いますが、念のためにタオルでテントを保護するという発想です。
保護のためのタオルが燃えるのでは無いかと心配する人もいるかもしれませんが、実際の運用時に自分は消化器も用意してテストしてみましたが、一晩使い続けて何も問題はありませんでした。
焦げが発見しやすいように白いタオルを使いましたが、使用後に見ても真っ白なままでした。
ちなみにタオルは、綿100%ではなくポリエステルなどが含まれた混紡もありますが、綿100%の方が熱には強いのでちょっと意識して下さい。
テントを熱から守るという役目においては、これらの断熱材=タオルをテントに巻くのも煙突ガードに巻くのも、役目的には変わりません。
しかし煙突ガードに断熱材を巻くと、煙突ガードに熱が篭ります。
煙突ガードは外気で冷却した方が、安全性は高まりますから断熱材はテント側に巻く方が好ましいのです。
もしタオルでは心許ないと感じるようでしたら、より断熱性が高く耐熱性も有るカーボンフェルトをテント側に巻くのが最適解だと思います。
ただ、コスト的にタオルよりも高額なのと、煙突に直接触れなければここまでの耐熱性は不要なので、自分は安価だけど必要十分なタオルを使用しているわけです。
スパッタシートと呼ばれる薄手の耐火(耐熱)シートを使われている方も散見しますが、耐火シートは燃えにくいというだけで、断熱性はまた別の話しです。
焚き火シート スパッタシート 焚き火台シート 耐熱 防炎 耐火シート ガラス繊維 キャンプ 芝生保護 薪ストーブ バーベキューコンロ 焚き火用 (【第2世代ブラック】60×90)
断熱と耐熱(耐火)という単語を混同されている方を散見しますが、意味は全く違います。
断熱とは熱を遮る事、耐熱(耐火)とはその素材が高熱に耐えて燃えにくいことです。
この場合は煙突の熱を遮るのが目的なわけですから、いくらスパッタシート自体は燃えなくても薄いシート越しに高熱は伝わるのでテント生地が燃えるあるいは溶ける可能性が有ります。
あくまでテントへの断熱が目的ですから、厚手のタオルやカーボンフェルトの方が、この場合は適しているのです。
もし、タオルが焦げるようなことがあれば、薄手の耐熱(耐火)シートではなく、厚手の断熱カーボンフェルに変更することをお勧めします。

ちなみに、条件等にもよりますが大量の薪を空気流入量多めで焚けば、ストーブ本体に近い煙突は250度くらいまで上がります。
上でリンクを貼ったカーボンフェルトで連続耐熱は200度程度ですから、長時間煙突に触れていたら燃える可能性があります。

普通なら200度まで上がらないような上方の煙突でも、煙突に何か巻き付けたりしたら想定以上に熱が篭って危険です!!
絶対に円筒には何も触れさせないこと!!!
あくまでタオルやカーボンフェルトはテント側に巻きつけつるだけで、煙突ガードと煙突の間は空気が留まる事なく隙間だらけで良いのです。
煙突には何も触れさせないのが原則です。
余計なことをしなければ、煙突とテント生地の間に空間が出来て、空気という断熱材が生じるわけです。
空気は流動的で、熱せられた空気は上昇しますから常に冷えた空気と循環して、最高の断熱材になり得るのです。
最高の断熱材たる空気の流れを遮らないように心がける事が重要です!
同じような事例として、耐熱バンテージ等を煙突に巻いている方を散見しますが、あれは非常に危険な行為です。
耐熱バンテージは多少の断熱性があるので、ドラフト効果を安定させるのが本来の目的だったはずです。
ところがその目的をしっかり理解出来ていない人達が、煙突に触れるテント部の保護になると勘違いして流行したようです。
キャンプ用の薪ストーブでは本来放熱するはずの熱が耐熱バンテージで煙突内にこもるわけですから、メーカーの想定以上に煙突の温度が上昇して耐熱バンテージでは断熱しきれず、テント生地にその熱が伝わり火災に繋がる危険性があるのです。
また、家庭用薪ストーブに比べ暖房能力が劣るキャンプ用の薪ストーブは煙突が放熱することによってテント内を暖めるのも重要な効果なのにその効果を阻害しているのです。
熱くなった煙突でテント内を温めているのに、その機能を無効化しているわけです。
(煙突を放熱させて暖めるのはキャンプ用ストーブならではで、家庭用の薪ストーブはまた違います)

暖房機本来としての性能を落としながら、火災の危険性を上げるという本来の意図からは全くかけ離れた危険な行為です。

ちなみに煙突は放熱させ過ぎるとドラフト効果が弱くなって燃焼が不安定になります。
安定した燃焼及びテント内を暖めるという目的のためにも、煙突は暖かいテント内部を長く通した方が燃焼効率も良いのです。

(本来二重煙突はそうした燃焼効率安定化のための機構なのですが、一部のアウトドアストーブでは煙突ガード代わりに紹介しているものもあるので、正しく理解・運用するようにしましょう)
自分のテント保護のやり方は呆れるくらい安上がりで簡単ですが、使用目的や意図を理解していれば、必要十分な効果があることがお分かりいただけたでしょう。
— ここからは、しっかり理解されている方のみが読んで下さい–
ただこのやり方だと煙突ガードの隙間から雨や雪が吹き込むことも予想されます。
なので雪が予想された先日のキャンプで、先に紹介したカーボンフェルト製のスパッタシートを煙突ガード側に巻き、煙突との隙間は連続耐熱1000度のスパッタシートを巻くというやり方を試してみました。
煙突に直接触れるているスパッタシートには先述したような連続耐熱1000度のシートを使いました。
先述したように、普通に運用していれば煙突はストーブ本体に近い部分で250度程度。
それもましてや上部では1000度まで上がることはあり得ません
ならばこのシートが燃える心配は皆無です。
ただしこのシートで包んでしまった事により、この周辺はかなりの高温となった空気が篭る事が予想されます。
そうなると、ポリエステル製のテント幕やジッパーは溶ける心配が生じます。
そこで断熱性だけではなく、耐熱性も有する厚さ5mmのカーボンフェルトを煙突ガードに巻いています。
安全性を最優先に考えるならば、テントを熱から守るための断熱材はテント側に巻く方が理にかなっています。
ただそれだと隙間が多過ぎて、自分のテントでは雪が多く侵入しそうなので仕方なく煙突ガードに巻いたわけです。
なので今回はタオルではなく、断熱性だけでなく耐熱性も兼ね備えたカーボンフェルトを選んだわけです。
大事な事なので、もう一度繰り返します。
円筒に直接触れるものは非常に高い耐熱性が求められます。
耐熱温度500度くらいはないとなりません。
それも瞬間なのか連続なのかわからないような、ただ「耐熱何度」としか書かれていないような怪しい製品は使うべきではありません。
連続使用温度が500度以上を自分は目安に考えています。
そしてテントを熱から守るための断熱材は、シート自体の耐熱温度よりも断熱性が優先されます、すなわち生地の厚さです。
カーボンフェルトならば5mm以上ある製品を使用すべきです。
煙突に直接触れないのならば、断熱材の連続耐熱は200度もあれば問題無いでしょう。
この2つの異なる特性の生地を組み合わせることにより、雪の侵入を防ぎながら安全に薪ストーブを運用する事ができました。
上記の説明でそれぞれのシートの役割と使い方が理解できないならば、このやり方は絶対に真似しないで下さい。
隙間だらけですが、最初に紹介したテントにタオルを巻いたやり方の方が絶対に安全です。
自分は消化器を用意してこうしたやり方を試しています。
このやり方で12時間以上連続で薪ストーブを燃やしていましたが、ポリエステル製の幕もジッパーも全く熱からのダメージを受けていませんでした。
ただしスパッタシートやカーボンフェルトをどう巻くかによっても結果は変わるでしょうから、安易にこれで万全だとは思わないで下さい。
最近は筒状のガード以外にも携帯性の高い製品も出てきていて、先々ではこうした製品を試してみようかとも考えています。
EnHike 煙突口ガード ストーブジャック テントプロテクター 煙突貫通 秋冬キャンプ 薪ストーブ 煙突用遮熱板 (ステンレス鋼-シルバー2)
要は高温になっている煙突とテント生地が触れずに一定の間を空けられれば目的は果たせるのです。

現在は100mm径の煙突で使える製品が出ていないので、しばらく様子見です。

他にも色々な製品や方法があるかと思いますが、皆さんの参考になれば幸いです。

安全に楽しい冬キャンプを!

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