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製造過程に問題あるか? オクトス アルパインライト

数年前から登山向けの軽量テント界隈で話題になっているメーカーがある。
中国のアウトドアブランドNaturehike (ネイチャーハイク)だ。
ビッグアグネスやMSRなど既存の有名メーカーの人気テントをコピーして、安価な価格で売っている。
価格の割りに優秀ともっぱらの評判だ。
自分も自転車キャンプのために1つ購入して使っている。
ただしあえて、有名メーカーのコピー品ではない形状のものを選んだ。
それがNebura2だ。→紹介記事
Naturehike 正規品 Nebula2 超軽量 テント 2人用 アウトドア 二重層 超軽量 4シーズン 防風 防雨 PU4000 防災 花見 海水浴 登山 専用グランドシート付
出入り口が2箇所あるダブルドア仕様で快適性が高いが、軽量性はやや犠牲にしたテントだ。
いわゆる登山用テントとはコンセプトが違うが、オートキャンプ用にしては小型軽量優先で居住性は犠牲にしており、ウルトラライト寄りの快適性も確保したやや変わった、ネイチャーハイク独自のオリジナル製品だ。
コピー元が優秀だったからネイチャーハイクのテントは評判が良かったのか?元々ネイチャーハイク自体が優秀だったのか?を検証してみるのにオリジナル製品はちょうど良いと思ったのだ。
その結果は、「冬を除く3シーズンで好天ならば優秀」なテントだった。
全面メッシュで天井部に通気口も有って通気性は抜群!
いや通気性が良過ぎて冬ならば冷気が入り放題、雨が降ったら吹き込むリスクまである!?
そんなテントなのにメーカーは宣伝にこんな写真を掲載している。
*画像参照 Naturehike
実際に使っている自分からしたら、こんな状況下では低体温症で命の危険にさらされるだろうと思っています。
でもまぁ夏の好天ならば、通気性が良くて良いテントだと思って購入したので、その目的には合致していたので問題は無かったのです。
ただ最近は冬でも自転車キャンプやりたいなぁ〜と思ってしまったのです。
先に述べたようにこのテントは冬には全然向かない。
ならば他のテントを探すしかないが、予算は乏しい。
ネイチャーハイクで冬向けはないかと探してみるとスカートが装備されたテントはある!
Naturehike公式ショップ テント 2人用 軽量 ソロキャンプ 登山 自立式 前室付きダブルウォール アウトドア 専用グランドシート付き 耐水圧3000㎜/4000㎜ 防風 収納袋付き コンパクト 3シーズン 防災用 キャンピング
同社の軽量テントの中でも1・2の人気を誇るクラウドアップシリーズのスカート付きモデルです。
クラウドアップはビッグアグネスのフライクリークのパクリですね。
でもまぁ元のフライクリークが優秀なおかげか、クラウドアップは大人気です。
ならばこのクラウドアップスカート付きも優秀かというと?
なんとこのモデルも全面メッシュなんです!?

*画像参照 Naturehike
せっかくスカートを付けても全面メッシュではテント内の通気性が良過ぎて、防寒という観点ではほぼ無力です。
更に場合によっては、このメッシュ生地が厳寒地では凍ることがあります。
更に更に、クラウドアップシリーズのような耐水圧の高い生地だと、フライシートに通気性が無いので積雪でフライシートの隙間が埋まると酸欠の可能性まで生じます。
要するに冬山ではこんな、なんちゃって冬山テントでは寒くなるだけでなく命の危険性も高まるわけで、普通は先輩登山家達から注意を受けます。
開発陣には実際に冬山を嗜む人がいないんでしょうね。
自分のNeburaもそうですが、何でこんなテントを雪・冬用と言い張れるのか理解に苦しみます。
とにかく、ネイチャーハイクは有名テントのコピーは出来ても、オリジナルテントの開発能力はもちろん改造能力すら無い事はわかりました。
安価でも、ちゃんとした開発能力を有したメーカーはないのか?
有りました! それも中国ではなく我が日本のメーカーです!!
石川県に本拠を置くoxtos (オクトス)です!!!
オクトスはアウトドア用品の輸入販売だけでなく、自主企画品も製造販売しているメーカーです。
自社生産品は「登山とスキーを趣味とする社長の林自身が使いたいもの」と謳っている。
そう、社長自身が現役(アマチュア)登山家なのです。
輸入品は実際に使用して納得がいったものだけを中国、台湾、韓国のメーカーから輸入するか、自社企画品を現地工場で生産し輸入する形をとっており、比較的安価なのが特徴。

ネイチャーハイクを使って感じたのは、パクリ製品なら、無意図でもオリジナルの優秀さが引き継がれ、そこそこ優秀なテントが作れる。
でも何故そういうデザイン・構造・機能なのかの意図が汲み取れていない。
結局は実際に使っているユーザーの声を開発陣が聞いていない。
あるいは、イメージで登山用テントを買うようなライトユーザーの声しか聞いてない。

しかしオクトスならば登山家である社長が開発陣にアドバイスしているのでしょうから、期待できそうです。

とは言え社長という立場である以上、完全なユーザー目線とはいかないでしょうから、経営的効率を優先することもあるでしょう。
さてオクトスはどちらの立場が色濃く出るか?
今回、自分が目を付けたのは同社の人気テントアルパインライト
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oxtos(オクトス) アルパインライトテント 2人用 OX-084
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先ずインナーテントはオールメッシュではなく、もちろんファブリック!!
雪山を除くオールシーズン対応です。
何なら、別売だが雪山用の外張りオプションまで設定がある!
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oxtos(オクトス) 冬用外張り 2人用【アルパインライトテント2人用OX-084専用】
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ネイチャーハイクのなんちゃって山岳テントと違ってガチの山岳テントなのがよくわかります。
張り綱やペグを除いて(他社だとこの状態を重量と表記する事が多い)1697gは、他社のウルトラライトなテントに比べるとやや重い部類。
でも我慢できないほどの重量級とまではいかない。
フライシートの耐水圧5000mmもなかなか優秀。
定価29700円はモンベルやアライテントなどの約半額でかなり安価な部類。
とは言え、ネイチャーハイクは1万円台前半から2万円台中盤までの価格なのでそこと比べるとやや高額だが、このメーカーは頻繁にクーポン等を発行しセールを行っています。
特に自社サイトで時々B級品を格安で放出することがあるんです、何と40%オフの17820円!!
この価格ならネイチャーハイクと同レベルです!
B級品と言っても、製造時の生地に黒い斑点が生じただけで機能・性能には何ら支障が無いとのこと。
それだけで、ガチの山岳テントがなんちゃって山岳と同レベルの価格?
ただしネイチャーハイクはフットプリント(グラウンドシート)が無料で付属されているのが1つの特徴。
オクトスは他の有名メーカー同様にグラシーは別売です。
B級品でも、やはり完全に同レベルの激安とまではいきませんか…
グラシーは不要として使わない人もいるくらいなので、これはまぁ仕方ないでしょう。
しかし自分はテントの床面保護のために、必ずグラシーは使う派。
ならばどうしよう?
他のテントで使っているオールウェザーブランケットを使うことも考えたが、アレは本来フットプリントではなく汎用のシート。
自転車キャンプで使うためには、出来ればとにかくコンパクトになるシートの方がありがたい。
となればフットプリント専用の製品、むしろいっそそのテントのために専用設計された専用のシートの方が良いだろう。
サイトを見てみると、このテントとグラウンドシートのセットも販売されています。
差額約4千円ですね。
本体の激安から考えるとグラシーはそんなに安いとは言えないけれど、専用品だとコンパクトというだけでなく設営が少し楽になることも期待できる。
グラシーはテント底部からはみ出すと、雨が降ってきた場合に雨を受けてしまいグラシーとテントの間に水が溜まってしまいます。
なのでテントよりもグラシーが大きかったら、折り込んだりあるいは事前に切ったりして一手間がかかるわけです。
ネイチャーハイクはグラシーが無料で付いてきますが、自分のネビュラはテント底部に対してグラシーがあまり小さくなっておらず雑に設営するとすぐにはみ出してしまうのでちょっと面倒なんです。
この辺りもネイチャーハイクは理解してないなと感じた所です。
オクトスさんならその辺、しっかりわかっているでしょうからパクリメーカーとの違いを見せつけてくれるだろうと期待して、あえて高額なグラシーセットをポチり!!
さて! 期待に胸躍らせ商品到着!
さすが山岳用テント!
実にコンパクトな収納状態!!
ネイチャーハイクのネビュラと比べるとこんな感じ。
登山用テントよりもやや居住性を優先したネビュラに比べると、全体にややコンパクトな印象。
特に自分の場合は自転車に積載するのが目的なのでポールが短く収納されているのがとても嬉しい。
(上がネビュラ、下がオクトスです)
ネビュラを選んだ元々の理由が実は収納寸法が短かったからなのだが、実物が届いたらポールが長かったので酷くガッカリしたものだ。
それがオクトスはこの短さなのが流石だ!
スタッフサックに収納されたテント本体はネビュラに比べるとやや長いが細い。
長いとは言え、ポールとほぼ同じ長さの時点で、何も文句は無い。
ザックへのパッキングに慣れた人が考えた、至極当たり前の設計だと思う。
テント本体は畳み方を変えて、スタッフサックを適当なサイズのものに変えれば収納サイズを短くすることは出来ます。
(もちろん太くなりますけどね)
しかしポールを短くするには、伸ばした状態では同じ長さで尚且つ節数の多いポールを自分で探さなければならないわけです。
どちらがより困難な事かは言うまでもありませんね。
もちろん節数を増やすと重量増なのに強度が落ちてそのくせしなやかさが落ちると、デメリットが目白押しなのもわかります。
でも、それでも収納性のためのコンパクトさは譲れない自分にしてみると、甘んじて受け入れられるデメリットなわけです。
張り綱やペグを除いて(他社だとこの状態を重量と表記する事が多い)1697g、それら付属品も含めた総重量が公称で1802g
実測では総重量1777g
45gほどカタログスペックよりも軽い!!
ただし、付属品のペグは8本しか付いてこないのだが、フライシートをちゃんと張るためにはあと5本必要なのが実情。
なのでその分55gを足した1832gが正しい実測値と考えるべきだと思う。
張り綱は計測前の試し張りの時にもう結んでしまったので、総重量以外の細かい測量はご容赦ください。
ちなみにネビュラをこの状態で比べるなら2064g
重めとは言えさすが山岳テント! 200g以上軽いわけです。
あと付属品でチェックしておきたいのはペグ。
前モデルではネイルタイプのジュラルミンペグだったのを、X字タイプのXフレームペグに変更したそうです。
ネイチャーハイクはY字タイプのペグを採用していますが比べてみましょう。
一番上がY字タイプで一番定評のあるMSRのグラウンドホグステイク
真ん中がネイチャーハイク、一番下がオクトスの付属ペグです。
付属品のペグは使い物にならない物が多いのですが、ネイチャーハイクはそこそこ強度が有って良いという評判を耳にしていました。
しかし実際に自分で使ってみたら、確かに強度はそこそこありますが保持力に乏しく使い物にならないペグと感じました。
形状は定評あるMSRとそっくりなんですが、見てわかるようにサイズが小さくなっているので土中での抵抗が少な過ぎるのでしょう。
それに対しオクトスも小さなサイズですがX字タイプなので、Y字タイプよりは抵抗が増しているわけです。
さすがに大きなサイズのMSRと同等とまでは言いませんが、これなら使い物になるかな?という感触は掴めました。
ちなみにペグの重さはネイチャーハイクの9.1gに対しオクトスは1本あたり11.1g
コストと軽量性を考慮しながら、使い物になる保持力を確保するためのギリギリのバランスを狙ったんでしょうね。
安価な山岳テントとしては素晴らしい選択です!!
ですが自分の場合は収納性を最優先に考えてスタッキングできるV字ペグとしてDACのJ-Stakeと、硬い地面の河原で野営することも多いという事情からチタンのネイルペグに換装します。
こういう付属品は自分自身の使い方に合わせて変更するのは当たり前。
さて、では試し張りをしてみましょう!
先ず収納袋からテント本体を出すと…
この時にスタッフサック=収納袋の狭さを感じます。
ネビュラスだとやや広めに作ってあって、収納後にベルトで絞れるコンプレッションタイプ。
コンプレッションタイプだと重量増とコスト増に直結するので、コンパクトに収納させるためには意図的に狭いスタッフサックにせざるを得ない。
とは言えやっぱり撤収時のストレスになりそうなので、折を見てオクトス製のコンプレッションサックに変更しようかと企んでいます。
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oxtos(オクトス) NEW透湿防水コンプレッションバッグ 10L
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さて無理矢理テント本体を引っ張り出すと、ただの紐でまとめられたテントが出てくる。
これもネビュラだと絞れるベルトだけど、やっぱりコストと軽量のためには涙を飲むしかない。
しかしこの時テント生地に触れて驚いたのは、生地の質の高さ!
かなり滑らかで薄手のバリスティックナイロンだが、素晴らしくしなやか!!
これは相当良い生地を使っている!!!
コンプレッションベルトとか削れるところは徹底してコストカットしているけど、生地とか大切なところにはしっかりコストをかけているのが感じられた!
グラシーを先に広げて、その上でテントを広げる。
あぁ〜オールメッシュでない事の安心感!!
そして片側からポールをスリーブに通す
個人的にはスリーブ式よりも吊り下げ式の方が好きだけど、まぁ双方にメリット・デメリットがあるから…
ちなみにポールの質は高くない、前モデルよりも少し細くして軽量化したとの事だが、ネイチャーハイクなどに比べるとアルミ金属の質が低いし工作制度も決して高くない。
まぁこれもコスト削減のためやむを得ないかなが、許容範囲で問題は無し。
奥までポールを差し込むと行き止まるので手元側のポールをポケットに差し込む。
これだけでテント本体は立ち上がる。
*新品購入時には張り綱が取り付けられていないので、結んで付けましょう。
テント4隅をペグダウン。
フライシートの前後を確認してかけて、
テント本体四隅のバックルとフライシート四隅のバックルを嵌める。
インナーに縛り付けてある張り綱を、フライシートから引っ張り出して
4箇所ペグダウンして、しっかり張る。
あっ! このラインロックはクラムクリートだ。
嬉しいことに、こういうところはちゃんとコストをかけてくれている。
ただし、テント付属のペグだと8本しかついてこないので、これで設営終了になってしまうが、これではフライシートがダルンダルンになって前室が機能しないしフライとインナーが接触してしまう。
自分でペグをあと5本用意しましょう。
出入り口側以外の側面3箇所の中央にループが縫い付けられているので、そこもペグダウンしないとインナーとフライシートが触れてしまうので、3箇所ペグダウン。
これはループにそのままペグダウンしたけど、細引を結び付けてペグダウンしやすくした方が良いですね。
そして出入り口のループ2箇所もペグダウンして前室を作ります。
これで設営完了!!
山岳テントらしく、非常に設営が簡単でスピーディー。
地面が柔らかくてペグダウンが容易なら、10分かからずに設営できると思います。
さて中を見てみましょう。
フライシートもインナーも大きく開いて出入りがしやすい。
正直、前室が広いとは言い難い。
でも山岳用テントとしてはこんなものか。
インナーの出入り口パネルは内部に収納できるポケットが付いている。
もちろんメガネなどの小物入れ用ポケットも装備されている。
頭頂部に小さなメッシュ
後部側面にベンチレーター
山岳用テントは小型なので室内空間も狭い=酸素の総量も少ないんです。
そんな室内で完全な密閉状態にしたら…  そう酸欠状態になりやすいんです!
なので凍って開かなくなるファスナーではなく、紐で開け閉めする形状のベンチレーターを装備しているのが一般的なんです。
ネイチャーハイクで通気性が良過ぎるのを嫌った自分が言うのは何ですが、寒くて死ぬことは滅多にありませんが酸欠での死亡はけっこうあるものです。
寒かったりしても、ベンチレーターは締め切らない!

これは鉄則です!

こうしたベンチレーターを見ても、このテントは山岳用テントとしての機能を装備しているのがよく分かります。

そんな機能性は全く問題無いが、デザイン的には野暮ったい印象を受けるのは否めない。
機能的デザインで独創性なんてのはこの価格では無理に決まっているが、せめて色使いはもう少し工夫のしようがあるようにも思うのだが…
自転車キャンパーとしては野営時のために、もっと目立たないアースカラーなどにして欲しいのが本音だが、山岳テントは万が一の遭難のリスクを考慮して目立つ色にするのは当然だ。
だからといって全面蛍光緑ってのはねぇ…
ネイチャーハイクのように大事な機能が欠損しているテントと違って、特筆するような長所も無いけれど山岳用テントとして必要十分な機能を有したテント。
それがわずか約3万円! 自分のようにB級品があれば2万円以下!?
そう考えれば野暮ったいデザインも我慢するしか無いですね。
そう言えばそのB級品の理由の「黒い斑点」ですが…
ザッと見た限り、1つも見つけられませんでした!?
大幅な安売りをするための方便なのか? それとも本当に黒い斑点はあるのだけど自分のような無頓着な人間には見つからないレベルの軽微なものなのか?
真相はわかりませんが、どちらにしても屋外で使うテントとしては気にする意味が全く感じられません。
ちなみに山岳テントらしいオプションとして紹介した、雪山用の外張りですが…
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このような冬用外張りは雪山用の装備であって、自分のように平地で冬キャンプを考えている人にはオーバースペックです。
例えば標高の高い冬山だと雨は全て雪になるので、防水性は考えずに通気性を優先した生地を採用するのが一般的です。
ウレタンやシリコンコーティングされていないただのポリエステルやナイロン素材なわけです。
平地では冬でも雪ではなく雨が降りますから、雨漏りしちゃうわけです。
他には凍結する可能性があるので、ファスナーではなく紐で絞る出入り口を採用するわけですが、こんなの平地では面倒なだけですよ。
このように冬の高地でこそ意味がある作りなわけです。
スカートが無いせいで隙間風の吹き込みが気になるなら、ノーマルのフライシートに自作でスカートを取り付ける方が実用的です。
でももし冬山に挑んでみたくなったら選択肢があるのは心強いですよね。
本物の山岳テントとしてオクトスのアルパインライトは最強のコスパを誇るのは間違いありません!

と、褒めちぎって終わりたかったんですけどねぇ…

実際に使用してみたら大きな不満がいくつか発生しました。
先ず試し張りの時点で発生した問題点。

セットで購入したグラウンドシートです。

専用収納袋込みで実測135.8g
ネビュラスの251.5gと比べると約半分!?
確かに実物を見比べた時に半分くらいに感じたけど、重さも半分だったわけです。
これは4千円増額の価値があった!!
と、この時は思ったのですが…

 

グラウンドシート(フットプリント)は、先述したようにテント底面からはみ出しちゃうと雨を受けてしまいシートとテントの間に水が溜まってしまうので、テント底面よりもグラシーは小さく作るのが普通です。
なのにこのセットのグランドシートはほんのわずかしか小さくないので、かなり微妙です。
これじゃネイチャーハイクと変わらないじゃないかっ!?
グラシーに関してはオクトスさんと連絡を取り合って色々と確認しましたが、かなり残念な対応でした。
そんなアレコレはかなり長くなってしまうので別に記事としてまとめます。
気になる方は是非ご覧ください→リンク
次に実際に使用して発覚した問題点。
フライシートがインナーテントに接してしまう。
このテントはインナーテントとフライシートの二重構造のダブルウォールなわけですが、ダブルウォールってのはその間にクリアランス=隙間が生じてこそ、その機能が有効化するわけです。
試し張りした時は特に問題無いと思ったのですが、初めての実使用のキャンプの時に生憎の悪天候で雨に降られたのですが、そうした状況下でフライシートとインナーテントが張り付いてしまったのです!

写真右下を見ればわかるように張り綱はもちろん、フライシート側面の裾もペグダウンしてあります。
もちろん、しっかりガイラインやループは引いています。
それでもフライシートがインナーテントに接してしまったわけです。
そしてインナーテントには防水性はありませんから、フライシート内側の水分を素通しして濡れてしまいます。

これは結露によるものなのか、フライシートの雨漏りなのかはわかりません。
普通に考えれば初張りですからフライシートの生地もシーム処理にも劣化は無いでしょうから、耐水性は万全のはずです。
耐水圧5000mmの生地ですよ!?
となれば雨漏りでは無いと思いますが、自分はもうこのメーカーに対して信頼性は皆無なので雨漏りを否定しきれません。
また結露だとしても、この時はテント内では一切煮炊きなどしていないので通常よりは条件は良い方です。
冬季の雨天ですから湿度はかなり高いので結露はしやすい状況ではありますが、これほど結露するのだとしたら、かなり通気性は悪いという事の証明でもあります。
そこに張り付きやすいインナーテントですから、最悪の組み合わせですね…
幸い発見が早かった事もあり給水タオルで拭きまくり、シュラフ等がビショ濡れになることはありませんでした。
でもまぁこれじゃあ落ち着いて熟睡出来ませんよね…

自分のテント設営が問題無かったという絶対の自信はありませんが、山岳テントって設営が容易なのが普通じゃ無いですか?
設営に責任転嫁させるのは無理があると思うんですよね。
やはり、先のグラシーでもそうであったようにここの製品は製造時(特に裁断)に問題があるんじゃないでしょうか?
グラシーの問題でメーカーの人と連絡を取り合った時に言われましたが
> 弊社生産部門に確認を取りましたところ以下のような回答でした。
> まず、ほとんどの繊維は程度の差はありますが、主に引っ張る力が加わる事で伸びが生じてしまいます。
> アンダーグランドシートの生産工程で言えば
> ・生地をカットする時
> ・カットした生地を重ねている時(重ねた状態で下の方の生地が重みで少し伸びるそうです)
> ・縫製する時
> ・畳む時
> 等の際に、なるべく伸びないように加減しますが引っ張る力を加えざるを得ないため、伸びが生じてしまうそうです。
こうした「伸び」が大きくなり過ぎて、フライシートとインナーテントが接するという、問題が発生しているんじゃないかと想像しています。

グラシーの問題でメーカーの人と連絡を取り合った時や、先行ブロガーの使用感を見ても、販売(製造)初期の製品には問題は無かったんじゃないかと思われます。
しかし工場に任せたままで製造を続けて放置してしまい、想定よりも「伸び」が大きくなって問題が発生したんじゃないでしょうか?
素人の心理で、「小さいよりは大きい方が文句を言われにくい」ので、オクトスが製造を委託している工場では「伸び」に関しては寛容な傾向にある可能性があるんじゃないでしょうか?
実際にはカットされる布地は小さいのはもちろんですが大きくったってダメなものはダメでしょう。
メーカーと連絡を取り合っても、少しくらい大きくても大事と捉えない社風を中国の製造工場も感じて、シビアに捉えていないんじゃないかと想像しています。

試し張りの時のメーカーの対応でガッカリしてしまったので、もう何度もやりとりするのもウンザリなのでこのフライシートに関しては何もメーカーに連絡していません。
もしもう一度メーカーに問い合わせたら、先ず設営がしっかり出来ているかの確認から始まるのは目に見えています。
それも雨天の同じような状況下で試さないとならないでしょう。
そんな面倒な事を何で購入者がやらなきゃならないんだよ…
こうした購入後の実検証を全て購入者に押し付けることによって、このメーカーは安価を実現しているのでしょうね。
このメーカーと付き合うのはもう疲れました…
これを最後にこのテントは手放してしまったので、もう検証する事はできません。

なのであくまで自分の思い込みと想像なのかもしれません。
でも生じた問題は事実ですので、これらをどう捉えるかはこの記事を読んだ方の判断にお任せします。
この記事がメーカーの人の目にとまり、しっかり実検証をして何か問題が確認出来たら、製造工場に改善を要求して、これからの製品が本来の性能を発揮するようになってくれれば良いな〜と思っています。

このメーカーは元々の設計思想というか機能はとても良い製品だと思っています。
先述した透湿コンプレッションバッグとかも良い発想で、使ってみると良い製品だと思うんです。
ただそうした良さも元々の設計どおりに製造されてこそじゃないでしょうか?
そうした製造管理って実はとてもコストがかかるので、こうした安価なメーカーだとそこが手抜きにならざるを得ないんでしょうね。
結果的に有象無象の中華メーカーと変わらない=好天なら良いテントになっちゃったわけです。
本当に残念です。
本来の性能が発揮されたら抜群にコスパの良い、本物の山岳テントだと思うんですけどねぇ…

 

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