ちょっと前に、とある大手キュレーションサイトでこんな商品が紹介された事があります。
エバニュー(EVERNEW) U.L. Cleaner EBY645
洗剤不要なタイプのスポンジを、極小サイズにした物です。
この商品を気に入って使っている方もいるとは思いますが、第一印象は「アホか」と思ったのが素直な感想。
エバニューが好きで購入した人はもちろん、「こんな小さいのに使えるんだぜ」という感じのネタ的ノリで購入するのも良いと思います。
でもその大手キュレーションサイトでは洗いもの問題を全て解消してくれるUL(ウルトラライト=超軽量)ギアとして素晴らしい!みたいなことを書いてあったのです。
この大手キュレーションサイトに対しアホかと思ったわけです。
先ず前提条件として、UL要素が本当に必要な人は登山や徒歩・自転車キャンプなどのごく限られた人だけでしょう。
それらの人だってほんの数十gの差だったら、記録を目指すような先鋭的登山でない限りそんな差は無いに等しいと自分は思っています。
また、山でのテン泊では洗剤禁止の地域がほとんどですし、自転車キャンプだと野営の多い自分も環境保護の観点から洗剤は使っていません。
それに対し、そのキュレーションサイトの記事を書いたライターは「今まで家庭用洗剤と普通のスポンジをセットで持ち歩いていたけど重く嵩張るし洗剤が漏れたりして嫌だった」と言うのです。
そして自らを「軽量コンパクト派」だと言っていますが、メインクッカーは南部鉄製の鉄皿・鉄鍋だと言うんですからどんなギャグですか?
我が家が自宅で使っているダスキンの食器洗い用スポンジで実測12.2gでした。
スポンジなんて押し潰せばちょっとした隙間に押し込めます。
要するに家庭用の普通のスポンジでも、重くも嵩張りもしません。
重く嵩張る原因は家庭用の食器洗い洗剤をセットにして持ち歩くからです。
だったら洗剤不要のスポンジに変えるだけで良いんです。
洗剤不要なスポンジなんてどこの100均だって売られています。
一般家庭で使いやすいように、エバニュー製品よりも大きなサイズなので、少し重くなるでしょう。
エバニューと似たような素材は向かって右端の黄色い製品かな?
自分が使っているのは真ん中の製品ですが、実測で1枚6.9gでした。
自分はいつも薄手のビニール袋に入れているので、その状態で7.7gでした。
エバニューの製品は2枚と収納袋入りで7gとの事ですから、その差は0.7gです。
1枚あたりの大きさは、おそらくエバニューは100均スポンジの1/3くらいかと思います。
収納袋がビニール袋よりは重いので重量差はわずか0.7gですが、そうは言っても面積あたりの重量差はおそらくそんなに無いと思います。
「いや、エバニューは1枚だけにすればより軽くなってコンパクトだ!」そう思う方もいるかも知れません。
でもそう感じなるなら、自分でスポンジを切りゃ良いでしょ?
もちろん切りっぱなしだと切り端からほつれるし、自分でほつれ止めまでするのは面倒、
まぁ分かりますが、だったらそのままでも良いジャンと思っちゃうのです。
この手の洗剤不要スポンジを使った事がある方なら知っている事ですが、脂っこいものを洗うとだんだんと洗浄力が落ちます。
決して無限に使い続けられるわけではないのです。
(これは普通の食器洗いスポンジも同様ですよね)
素材や製法などでいくつか種類はありますが、洗剤不要の原理は素材の吸着力と摩擦で汚れをこそげ落とすのはどれも同様です。
そう!吸着力なんです。
油汚れは素材にどんどん吸着されます。
熱湯で脂分を落とすと、いくらか復活しますが、限界はあります。
使い捨てではありませんが、製品寿命はそれほど長くないだろうことは想像に難くありません。
だったら、切りっぱなしでも気にせず、寿命が近づいたら自宅で廃棄で構わないじゃないですか?
で、素材に吸着するわけですからエバニューの小さな製品では脂分を溜め込める量なんてたかが知れています。
製品寿命は100均よりも短い可能性すらあります。
もちろん高額なだけあって、より高耐久な可能性もあります。
ちなみに自分が使っている、画像真ん中の製品は110円で4枚入っています。
製品寿命がエバニューは倍あったとしても、100均の製品は4枚入っているのですから倍でやっと互角の製品寿命。
(まぁあの大きさで倍もの製品寿命なんて無理だと思いますけどね…)
洗浄力に関しては、この手の洗剤不要スポンジって油汚れなどに対しては、どれもそこまで劇的には綺麗になりません。
エバニューも記事を読むと同様のようです。
高額な分、少しはマシかもしれませんが、大差がつくほどではなさそうです。
使い勝手に関しては100均の方がデカい分、使いやすいでしょう。
乾燥に関しては厚みがある分、100均の方が時間がかかると思います。
まぁ乾かなくてもビニール袋に入れて持ち帰れば良いだけなんで、そんなに問題と思ったことは無いですけどね。
こんな感じで双方にメリット・デメリットがありますが、こうした比較もせずに褒めちぎる大手キュレーションサイトがアホらしいと思ったわけです。
かたや千円以上で2枚、かたや110円で4枚。
普通に考えれば、よほどの物好きでなければこの価格差を覆せるとは思えませんけどね。
結局は大した経験も知識も無い素人を、さもベテランキャンパーかのように扱って記事を書かせているキュレーションサイトが問題なのです。
でも初心者は大手キュレーションサイトで記事になっていればそれが本当に正しいと信じてしまう。
実際に、この記事が発表されてからしばらくの間、件の製品はずっと売り切れ状態でした。
何度も言いますが、100均商品と実情は大差無いと分かった上で使っている人はそれで良いと思います。
自分もブランドのロゴが入っただけで、性能的に大差無い製品をたくさん使っています。
キャンプなんて趣味=遊びなんですから、当人が楽しければそれで良いんです。
ソロキャンプごっこ、ブッシュクラフトごっこで良いんです。
ですが広告収入で利益を上げている大手キュレーションサイトが、いいかげんな情報で高額な商品を薦めて初心者を食い物にしているのは見ていて本当に腹が立ちます。
なんて、事があったので100均に行った時にちょっと気になってこの手の商品を見ていた時に、とある商品が目に止まったのです。
ダイソーで販売している「ミラクルキッチンワイプス」
これは洗剤不要ではなく、洗剤を染み込ませた使い捨てシートです。
1袋に8シート入っています。
なので洗剤使用を禁止している場所では使用できません。
これは圧倒的デメリットです。
しかし重さは実測で1枚1.3g。
このパッケージはそのまま密封できるようになっているので、そのまま収納袋にもなります、2枚入れて持ち出しても4.4g。
軽さにこだわるなら薄いビニール袋に入れれば3.4gです。
エバニューの製品の軽量性に惹かれたなら、こちらの方がより軽い=すなわち優秀と言えるでしょう。
洗剤で洗えるので、洗浄力も低くありません。
使い捨てなので乾燥しなくても捨てれば良いので、手間要らずです。
最近の自分は自転車キャンプではこれを使う事が多いです。
元々、洗剤不要のスポンジを持って行っていた時も、実はスポンジは使わない事が多かったんです。
たぶん登山をされている方もそうだと思いますが、食事を終えたら食器(クッカー兼用が多い)をティッシュやキッチンペーパーでよく拭いてサッと水ですすぐだけでおしまいって事が多いです。
食材も水も貴重な場合がほとんどなので、汚れや匂いが落ちにくい時以外はその程度で済ませてしまう事が多かったんです。
それに洗剤不要スポンジで綺麗になる程度の汚れなら、上記の方法でも綺麗になります。
そのために内部コーティングがされたクッカーを自分は使っています。
上記の方法で綺麗にならないような汚れや匂いなら、やはり洗剤でないと完全には綺麗にならない。
だったら、洗剤を染み込ませたこの使い捨てシートの方が持って行く意義があると考えたわけです。
匂いや汚れがキツそうなら、洗剤使用不可な場所でも、自転車なので翌日に洗剤が使える場所まで移動してから洗うことも出来ます。
どうせ食器洗いスポンジを使うなら、この方が合理的かな?と思って最近はこのような行動をとっているわけです。
その際に生じたゴミはコンビニ等で廃棄させてもらう。
こんなスタイルが自分の自転車キャンプでの標準になってきました。
皆さんそれぞれの好みで自分のスタイルを見つけてくれたら良いと思います。
その際に大手キュレーションサイトを参考にするのは程々に…
コメント