4月も半ばを過ぎ、桜も散って暖かい日が続くようになってきました。
自分はこの冬にはガンガンとソロキャンプに行くつもりで色々な新しい道具を夏頃から入手していたのですが…
色々と諸事情が重なってしまい今年はほとんどソロ冬キャンプに行く機会がありませんでした。
もうそこまで寒くは無いけれど、そうした冬装備をなんとか使う機会を無理矢理作ったので、これからしばらく紹介していこうと思います。
先ずは薪ストーブ!
既に自分はホンマHS-440を所有しています。
ステンレス製の折り畳み式筐体で2次燃焼が特徴の薪ストーブです。
燃焼効率が良いので暖かく、広い天板は調理にも適していて使い勝手が良い。
ただ燃焼効率優先のためか太めの煙突で、本体一式と合わせると収納寸法が大きいのが悩みの種でした。
自分は快適性重視のキャンプスタイルで物欲が強いせいもあり道具が多く、収納生の高いミニバンなのに荷物が多過ぎて積載に難儀しているのです。
なので、収納性重視のコンパクトな薪ストーブ導入を検討しだしたわけです。
車移動なので本音を言えば軽量性はあまり拘っていないのですが、まぁコンパクトとくれば結果的に軽量にもなる。
軽量コンパクトな薪ストーブと言えば、チタン製の折り畳み式薪ストーブが思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
そしてそんなチタン製折り畳み薪ストーブと言えばPOMOLY(ポモリー)が一番有名でしょう。
チタンは熱伝導率が低く加工も難しいため、薪ストーブの素材に採用するメーカーが以前は少数派でした。
しかしポモリーは比較的早くからチタンを採用し、チタンの特性をしっかり理解しながら独自に軽量コンパクな薪ストーブを作り上げたのです。
ポモリーは中国のメーカーですが、他の多くの中国メーカーのように安易なコピー品を作るのではなく、独自にオリジナル製品を作り上げ、今ではチタン薪ストーブの代表格と目されるまでに成長しました。
現在はSoomLoomなど多くの中国メーカーがチタン薪ストーブを安価に製造販売していますが、POMOLYはチタン薪ストーブのパイオニアとして他メーカーよりも高価な価格設定を維持しながら、そうした高い収益性により独自の開発を続け現在では多くのバリエーションを揃えているのが現状です。
自分が入手したポモリーのチタン薪ストーブは、そうした最新の製品ではなく、初期のオーソドックスなチタン薪ストーブ=T1です。
POMOLYに拘りが有ったわけではなく、まだ暑い夏の内に安価なSoomLoomのチタン薪ストーブを購入しようと調べていた時にたまたま、安価な中古を見つけたというだけなんです。
前オーナーの話しでは2020年シーズンに購入したモデルだそうです。
その頃だと新品で5万円強と、現在の9万円弱よりもかなり安価な販売価格だったと記憶しています。
たしかこの頃は、ステンレス製でスタイリッシュなG-Stoveのブームから、大きな窓が付いた同じくステンレス製のwinnerwellに売れ線が移行した頃だったと記憶しています。
そんなwinnerwellとチタン製のポモリーはあまり変わらない価格なのに、使ってみると特に支障が無いと話題になり出したのがこの頃だったと思います。
もちろん最新モデルは定番のT1と言えど進化しているので、最新モデルと比べれば劣る所もあるでしょうが、2020年モデルならばオーソドックスな薪ストーブとして問題は無いだろうと考えたわけです。
ポモリーにはこのT1とT-Brickが定番モデルとして当時からありましたが、T-Brickはより軽量化を前面に押し出したモデルですがが、薄いチタンを素材として採用しているのでどうしても歪みやすい。
それに対しT1はチタンにしては厚めの1mmの鋼材を採用しているので、比較的歪みにくい。
なので中古で買うにしても比較的リスクが少ないだろうという目論見もありました。
冒頭で述べているように、自分は軽量性にはあまり拘っていないので、より堅牢なT1の方が当時から興味があったのです。
とにかく、そんな感じで入手した2020年モデルのPOMOLY T1
思った通りに収納状態がとにかくコンパクトです。
小さな専用ケースにストーブ本体はもちろん、煙突まで収納されています。
このコンパクトさの秘密は煙突の方式によります。
自分が今まで使用していたホンマHS-440も同様ですが、多くの薪ストーブは短い円筒を繋ぎ合わせて組み立てる方式です。
それに対し、1枚の細長い金属板を筒状に巻いて使うのが巻き煙突。
煙突として使う時は短辺を巻きますが、収納時は長辺を巻いてコンパクトに収納できるのです。
繋ぎ合わせる方式だと約2.5mの長さにするのに400mmの半直筒とダンパー合わせて6本を使っていますが、巻き煙突ならば1つで済みます。
上記の写真の巻き煙突、実はこれで3mの煙突です。
煙突としての直径が違うので比較しにくいのですが、収納体積は巻き煙突なら概ね1/6以下で済むわけです。
ストーブ本体もやはりポモリーの方がコンパクトですが、ホンマは2次燃焼機構などでスペースを喰っている事もあり単純比較はしにくいのですが、同じ折り畳み方式で本体の横幅が同寸ならば1/6という事はあり得ません。
ちなみに展開した時の大きさはこのくらい違う。
全高がPOMPLYは低いので、かなり小さく見えるかもしれないが、横幅はあまり変わらない。
一般的に市販されている薪のサイズである40cmがそのまま投入できるので、決して小さ過ぎて不便なサイズではありません。
軽量コンパクトと実用性を兼ね備えたのがT1なのです。
本体と煙突をまとめて収納すると、この差です!
やはりコンパクト化に一番貢献しているのは、巻き煙突なのは間違いありません。
そんな収納性に優れる巻き煙突を何故多くのメーカーは採用しないのか?
それは多くのデメリットを抱えているからです。
薪ストーブとして使用するために、煙突状態に変形していくのが不慣れな人には非常に困難です。
自分の場合は中古で巻き癖・折り癖がついていたために難儀したというのもありますが、初めての作業では2時間以上かかってしまいました。
まぁこんな酷い中古でなければ初めてでも1時間もあれば出来たと思いますが、とにかくそう簡単には出来なかただろうと思います。
ちなみに通常の煙突ならば繋ぎ合わせていくのに初めてでも3分もかかっていません。
体積は1/6以下と先述しましたが、困難さは10倍では済みません。
折り癖がついていたと先述しましたが、前オーナーはおそらく中折れしてしまった事があるのだと思います。
巻き煙突を伸ばしている時に折れたならまだ良いのですが、万が一燃焼中に折れたらと思うと…
ちょっと不安になっちゃいますよね。
先行ブロガーを見ると、実際にそうした悲劇に見舞われた方もけっこういます。
それと実際に作業してみて自分が感じたのは、作業中の音がとにかくうるさい!
薄い金属板を曲げる時に出る「ビランビラン」というような音がかなりの大きな音で鳴り響きます。
自分が作業した時には他のサイトでテントを張っていた人はいなかったので、恐縮しながら作業を強行していましたが、管理人さんがあまりの煩さに耐えかねて様子を見に来ました。
とにかくまぁそのくらい煩いです。
慣れれば短時間で作業できるでしょうから、周囲の利用者には我慢してもらうしかないと思いますが、ちょっと躊躇するのが普通です。
作業に慣れが必要(難しい)、折れる危険性がある、作業時に騒音が酷い、こうしたデメリットがかなり酷いという覚悟が必要だと自分は感じました。
ただそれらのデメリットを覚悟してもなお、使いたくなるくらいにコンパクトになるというメリットが魅力的なのも本音です…
とにかく苦労して煙突を伸ばしさえすれば、後の組み立ては簡単です。
本体を裏返して脚を開く
戻して、横側板を開く
正面・背面側板を開く
留め金をかける
天板を乗せる
また留め金をかける。
これで本体は完成!
伸ばした巻き煙突を接続すれば、おしまいです。
本当に巻き煙突以外は簡単です。
ただし、煙突をテントから出す際によく使われる煙突ガードは、巻き煙突には使わない方が良いようです。
煙突に煙突ガードの重さがかかるので、折れやすくなるからです。
なのでストーブジャックを使う方が無難だと思います。
テントによってはストーブジャックは使いにくい場合もあるので、これも巻き煙突が敬遠される理由の1つでもありますね。
とにかく煙突の出し方には注意が必要ですが、組み立ては簡単です。
そして燃焼させるのも実に簡単でした。
他の薪ストーブと同様に、空気調整窓やダンパーは全開にしておいて、着火剤に点火して先ず針葉樹の細割りから燃やしてその後に広葉樹の薪へと移行していけば何の工夫も必要無く燃えていきました。
初期購入状態でT1は火床にロストルは付属していないので、燃焼効率が悪いのでは無いかと事前には心配していたのですが、ロストルが無くとも特に問題も無く燃焼していました。
翌朝見てもほぼ綺麗に燃え尽きていますね。
薪の種類や乾燥状態にも寄るでしょうが、このままロストルを別途買い足さなくても良いかな?と感じました。
燃焼効率が良いとは言い難いのですが、実用範囲内という感じです。
自分的には、空気調整窓は常に全開、ダンパーも全開〜1/4閉めくらいが良さそうな感じでした。
ダンパーを半分くらい閉めたり、空気調整窓を少し閉めたりすると、燃焼状態が途端に悪くなったのが気になるところです。
そんな感じなので暖房器具として暖かいかというと、やはり微妙な気がします。
この時に使用したテントはogawaのTassoにメッシュスクリーンを装着した状態。
1人で使うにはやや広い状態で、薪もケチりがちな燃やし方ではあったせいだと思うが、テント外との気温差は約4℃
ストーブと温度計との距離により計測温度は変わるので、体感的にはもう少し暖かい気がしたが、とにかくそこまで強烈に暖かいという気はしなかった。
ステンレス製のホンマHS-440に比べると、暖める能力はやや低いように感じた。
窓からの遠赤外線効果がある前面と側面はそこそこ暖かいが、
窓の付いていない後方はほとんど暖まらないような気がした。
これはやはり熱伝導率が非常に低いチタンの特性なのだろう。
天板に置いたヤカンのお湯が沸く時間は特段長くは感じないので、チタンが断熱しているわけでは無いのだろうが、やはり伝導率の低さは暖房器具としてはややネガティブに働くのだろう。
致命的とまでは言わないが、暖房器具としてはチタンはやや微妙という感じだ。
一方でチタンの煙突は熱くなり過ぎてテントを燃やしたりしないという意味では良いのかもしれない。
もちろん煙突からも放射熱があるので、暖房器具としてはやや不利なのだから、絶対的に良いわけでも無いが…
それと、自分は元々が暖房器具としてよりもテントの中でヌクヌクと炎が見たくて薪ストーブを導入したのです。
そういう意味では窓ガラスから見える炎も重視したいが、T1はその点もやや微妙。
2次燃焼で美しいオーロラバーンまで見られるHS-440に劣るのは仕方ないけれど、煤で窓が曇りがちなのは気になります。
まぁそれは薪をケチる自分の燃やし方にも問題があるのですが、とにかく窓があるからと必ず綺麗な炎が見られるとは限らない。
そういう観点からも、コンパクトさに拘ると色々と妥協しなければならない事が有るというのは覚悟しなければならないと思い知らされる。
別売のオプション品は、チタン製のため高額なものが多いが、中々に優秀なものがある。
サイドテーブルは有るとかなり便利
チタン製のために高額と先述したが、おかげでかなり軽い。
シンプルな作りのため収納場所も取らないし、これは必ず有った方が良いと思う。
天板の代わりに乗せる網もあるが、これは自分にはあまり必要性を感じない。
元々が天板を外せば、焚き火台として使えるという事なのだが、そうした焚き火台使用時にこの網を使えば調理に役立つという事らしい。
でも薪ストーブではなく、焚き火台として使用するというのがそもそも自分では必然性を感じない。
テント内で使うなら薪ストーブとしてしか使う気は無いし、暑くなってきたからテント内でストーブは使わずにテント外で焚き火を楽しもうとするなら、最初からピコグリルなどの焚き火台を持って行った方がもっと軽量コンパクトで焚き火台としては使いやすい。
薪ストーブと焚き火台を兼用した方が安上がりなどと考えるような人は、こんな高額なチタン薪ストーブなど選ばないだろう。
使用者の考え方次第なので、もちろん焚き火台と兼用したって構わないが、自分にはこの網は不要だと感じた。
チタン薪ストーブとしては定評を得ているだけあって、薪ストーブとしてそれほど悪いとは思わないけど、現在の高額な価格に見合うほどの暖房能力かと考えたらやや微妙だと思う。
とは言え薪ストーブとして、軽量コンパクトさでは圧倒的なのも間違いない。
あの軽量コンパクトさを一度体験してしまうと、高額な事や巻き煙突のデメリットを分かっていても、使い続けようかと考えてしまう自分もいます。
そう考えたら、暖かさとコンパクトさと巻き煙突のデメリットを考慮すると、状況に応じて繋ぎ合わせか巻き煙突を選んで組み合わせて薪をケチらずにジャンジャン燃やす使い方をするのが一番良いのではないかと個人的には感じた。
でもそうすると薪の消費が…
薪の購入代金節約と品質の確保を兼ねて、自分は自宅から薪を持ち込む事がほとんどです。
でもジャンジャン薪を使うにはそれだけ大量の薪を持っていかないとならないわけです。
となると、せっかく軽量コンパクトな薪ストーブを選んでも薪で場所を塞いでしまう事態になりかねません。
うぅ〜ん薪ストーブの運用は悩ましい事ばかりです…
もし、初めて薪ストーブを購入しようという人がいたなら、折り畳み式のステンレス製薪ストーブで最初は繋ぎ合わせ煙突の組み合わせで、慣れてきたらチタンと巻き煙突の組み合わせを試すようにアドバイスするかな?
最初からチタンと巻き煙突の組み合わせはあまりにインパクトが強過ぎるが同時に欠点も目について勧めにくい。
逆を言えばそのくらい、あの軽量コンパクさは蠱惑的に感じた。
実際に使ってみないと納得しにくい自分としては、やはり使って良かったと思うPOMOLYのT1でした。
薪ストーブ
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