4月も半ばを過ぎ、桜も散って暖かい日が続くようになってきました。
自分はこの冬も自転車キャンプに行くつもりでいくつかの新しい道具を夏頃から入手していたんですけどね…
色々と諸事情が重なってしまいこの冬は自転車キャンプに行く機会がありませんでした。
もうそこまで寒くは無いけれど、せっかく購入した冬装備をなんとか使う機会を無理矢理作ったので、これからしばらく紹介していこうと思います。
こんな書き出しで事前に購入しておいた新規購入冬装備紹介のシリーズもひとまず今回で最後。
最後は大物のテントの紹介です!
自分は自転車キャンプ用に最初にネイチャーハイクのネビュラ2を購入したのですが、全面メッシュのインナーテントは夏は快適だけど冬は寒い!
そこで安価だけど本格的登山にも対応していると評判だった、ファブリック生地採用のオクトスのアルパインライトを追加購入したわけです。
季節に合わせて使い分ければ良いかと思ったのですが、オクトスはグラシーのサイズ感が微妙に気に食わなかったり、結露?が酷くテント内がびしょ濡れになったりで不満が貯まっていった。
グラシーの問題の時にメーカーとメールでやり取りをしましたが、その時の対応で酷い不信感も湧いてしまいました。
このまま使い続ける気力がどうにも湧いてこない。
気に入らない道具を使い続けるくらいなら、買い替えて物欲を満たした方が良いと考えて新しいテントを購入しようと決意したのです。
さて、何を買うか?
自転車キャンプ用を想定しているので、軽量コンパクトなのは言わずもがな。
いや! 自分は軽量には極端には拘らないんです。
自転車利用ですから、もちろん軽ければ軽いに越した事は無いんですが、いわゆるUL(ウルトラライト)とか言ってg単位の軽量化に拘るみたいなのには興味が無いんです。
競技や記録を目指しているわけじゃ無いんだから、10gの軽量化にたいした意味は無いと思っているんです。
でも自転車それも荷台も何も無いロードバイクに積載しなければならないので、収納寸法には拘ります。
大き過ぎると積載できないですからね。
自転車キャンプではあるけれど、何よりも拘りたいのは快適性かな?
季節で使い分けるのも良いが、夏も同じテントを使っても良いかと考え、ネイチャーハイクのネビュラ2と同様のダブルドアだと快適な上に使い勝手も良い。
ネビュラ2はテント内もまぁまぁ広く、前室も広いので使いやすく快適で良いテントだと思っています。
かえすがえすも全面メッシュが残念だった。
もちろん収納寸法に制限があるくらいですから、快適性に全振りは出来ませんけどね…
他にも耐久性や設営の容易さとかいろんな要素のバランスではありますが、快適性を強く意識したバランスをとりたいと考えているのです。
ネイチャーハイクにオクトスと安価なメーカーの製品を続けて、ちょっと残念な点が目につく事が続いたので今度はあまり低価格には拘らなくてもいいかな…
あっ! もちろん、冬にも使えるようにファブリック生地のインナーには拘りたいですね。
そんな感じで選んだのが、自分でも予想外だったSEA TO SUMMIT テロスTR2プラス
SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) テロスTR2プラステント ST87006 グリーン
今までにシュラフやインフレータブルマットなど色々な製品を購入・使用しているが、どの製品も独創性に富み使用者の視点に立った開発がなされている事を強く感じさせられる製品ばかりだ。
テントの製造販売に関してはまだ歴史が浅いものの、このテントも非常に独創性に富み使い勝手に優れたテントのように感じられた。
最近よく思うのだが、優れた製品は優れた思想の下に生まれるように思う。
いや別に小難しい哲学とかそう言うのではなく、開発者の拘りみたいなもんです。
ネイチャーハイクは優れた既存製品のコピー品からスタートして、安価だけど優れた製品を生み出しています。
既存製品のアイディアとかではなく、完全なコピー=丸パクリです。
そしてコピーを繰り返したおかげでテント製造のノウハウが貯まり、自分が所有しているネビュラ2はコピー品でないにも関わらず中々に優れた製品だと感じています。
でもただコピーを繰り返しただけで、何故こういう設計になっているのかが理解できていないふしがあります。
ネビュラ2は通気性が良いから夏には向いているけど冬が寒くて使いにくいと散々説明してきましたが、メーカーは何故かその冬の使用を前面に押し出しているんです!?


いやまぁわかりますよ! 天井部の通気性が良いから周囲が雪に埋もれても天井部から換気が出来るので窒息はしない。
でもねぇ〜(苦笑
こう言っちゃなんですが、ネビュラ2が良いテントだったのはマグレだったんじゃないか?って気がしちゃうんですよね。
中国のメーカーはもう少し実際に使う人が開発に携わるべきだと思います。
でもせっかくしっかり開発した製品でも製造は現地に丸投げなんじゃないですかね?
アウトドアとは関係無い中国工場に出向していた知人に聞いたことがあるのですが、中国工場の工員って意外に優秀な人が多いのですがこまめに管理しないとすぐに手抜きをしてしまうと聞いたことがあります。
なので製造管理=工員の管理をする人間で質が大きく変わるそうです。
グラシーの問題でメーカーの人と連絡を取り合った時に言われましたが
『 生産工程で言えば・生地をカットする時 ・カットした生地を重ねている時・縫製する時 ・畳む時等の際に、なるべく伸びないように加減しますが引っ張る力を加えざるを得ないため、伸びが生じてしまうそうです。』
なんて言われたんですが、その伸びが許容範囲なのか?って点が重要なんじゃないでしょうか。
現地に丸投げで許容範囲を超えているかどうかの検証をしっかりしないと優れた製品の性能は維持できないですよね。
で、その検証をメーカー側では行わずに、我々購入者の使い方に問題があるかもしれないから検証しろって感じで言ってくるんです。
もちろん我々消費者が間違う事もあるから、先ずは確認してくれって言うのは分かります。
でも、それと並行して自分達の在庫で同様に検証してくれよと思うわけです。
まぁ検証するには手間暇かかるし、実際に問題が有ったら抱えた在庫が売りにくくなりますからね。
「安くしてるんだから、面倒事はお断り」って感じでした。
こんな対応をするメーカーの製品はもう使いたく無いって思ったわけです。
対してSEA TO SUMMITは以前からインフレータブルマットやシュラフを使っていますが、独創的な工夫が随所に感じらるんです。
必ずしもその工夫が上手くいってない時もあるのですが、頭の中だけで完結させずにとにかく行動してみる=作ってみる、そんな勢いがあるんです。
他のメーカーで成功した既存品をコピーするのは、企業としてはハズレが無くて良いのかもしれません。
そして製造過程は地味にコストのかかる検証とかに力は入れずに、効率良く利益のみを優先する。
そんな企業活動を続けて楽しいんですかね?
慈善事業じゃないんだから、赤字垂れ流しで企業活動をしろとは言いませんよ。
でも、キャンプ道具なんてのは趣味・遊びのための道具ですから、効率優先で利益が何より大切って人が生み出す製品が遊び心を満たせるとは思えないんですよ。
ネイチャーハイクなどにはそういう遊び心を感じません。
そしてそんな遊び心をもって作り上げた製品を、きちんとしたクオリティで製造し続ける事ももちろん大切。
SEA TO SUMMITでは自社の製品に自信があるようで、ライフタイムワランティ=製品寿命間の保証を採用しています。
過去に同社の製品で軽微な不具合が有った事もあるし、その時の輸入代理店=ロストアローの対応は正直イマイチだったんですが(苦笑→関連記事
それでもまぁ製造元であるSEA TO SUMMITの企業姿勢には感心する事が多いので、自分としてはオクトスみたいな事にはならないだろうと感じています。そんな感じで、今回はスペックよりも先にフィーリングでこのテロスTR2プラスは選んだのです。もちろんそうは言ってもスペックを蔑ろにして、このテロスTR2プラスを選んだわけではありません。
先述したように自転車キャンプに使うのに軽さに強い拘りは無いけれど、極端に重く嵩張るのは困ります。
カタログスペックで重量は1706g
このテロスは登山向けの最軽量を目指したモデルではありませんが、ロングトレイルを徒歩で踏破する人向けに開発されたテントだと思います。
徒歩利用がメインターゲットですから、やはり軽い!
2人用のダブルウォールテントで1706gは最軽量の部類ではありませんが、軽量なのは間違いありません。
散々言っているように定価はけっこう高額なんですが、案外安く売られる時もあるので、アライテントなどの国産品と比べてもむしろ安い価格で購入できました。
先ずは収納状態を見てみましょう。
細長い筒状で、一見しただけではテントとは分かりにくいパッキングですね。
しかしこれを各パーツに分けると、ポール・テント本体(インナーテント)・フライシートの3つに分かれる。
SEA TO SUMMITでは、仲間と均等配分出来るモジュラーストレージシステムと呼んでいるが、2人用テントを3つに分ける?
うぅ〜ん、自分のようにテント内を広く使いたいから1人で2人用テントを使うのは珍しい使い方ではないと思うので、均等配分とかにはあまり意味が無いが、大きな塊ではなく小分けできるのはパッキングの自由度を広げられて良い事だと思う。
ただし、よく考えずに購入して失敗したのがこのポール。
自分の場合、今までのテントはポールをトップチューブに括り付けていた。
それがこのポールケースだと長い上に厚みもあって、トップチューブに括り付けるのは無理だ。
先ず全長が長過ぎて物理的に無理なのですがその上、細長い蒲鉾状の形なのにそれほど強度のあるケースでは無いので力を入れて固定すると壊れそうで不安になります。
その上、ポールを接続している節が嵩張るので、別にスタッフサックを用意して括り付けようとしてもポールが曲がったりしやすくて問題になる。
自転車に固定する事は諦めて、はみ出る事を覚悟でディパックなどに収納するしかない。
先述したように、このテントはロングトレイルを踏破するようなハイカー向けに開発された製品です。
彼らはもっと大きなバックパックを背負っている人がほとんどなので、このくらいの長さは別に問題にならないのでしょう。
でも我々サイクリストは、ライディングポジションを考慮してそんなに大きなバックパックは敬遠する傾向にあります。
と言うか出来れば背中には何も背負いたく無いくらいです。
積載荷物の都合で仕方なく背負うにしても、せいぜいが自分のようにディパックまでと言うのが普通です。
とは言え、自分が使用しているのはドイターのトランスアルパイン24ですが、これよりももう少し容量の大きなモデルでトランスアルパイン30というモデルもあり、それだとちょっと無理矢理ではありますが何とか入ります。
[ドイター] サイクリングバックパック トランスアルパイン 30 メンズ ブラック 30L
あるいは、サドルバッグとしては最大級の17Lのサドルバッグも何とか入らない事はないのですが、サドルバッグには他の道具を入れたいと自分は考えているので、まだ組み合わせが確定していません。
自分にとって、テロスTR2最大の問題はこの収納方法がネックなのです。
それ以外はダブルドアの2人用テントとしてはかなり軽量コンパクトなので、とても素晴らしい!
同じようなサイズ感でダブルドアのネイチャーハイクネビュラ2と比べてみましょう。
先述したように、細長過ぎるきらいはあるが全体としては驚くほどコンパクトだ。
体積としてかなり小さい。
フライシートの素材はどちらもシルナイロンのはずですが、最終的にこれほどの差が生じるというのは驚きです。
これだけコンパクトだと重量も軽いことが期待できる。
重量に関しては各メーカー、いろんな物を含まずに表記している場合が多いので、カタログスペックはあまり参照に出来ず自分で測った実測データでないと当てにならない。
ネビュラ2の総重量はフットプリントを除いて2kgというのが公称値だが、実測値では2,064gでした。
これはフットプリント以外は純正ペグからガイラインやスタッフサックまで全部入れた実際に使う際の重量です。
意外とネイチャーハイクの公称総重量が参考になるので驚いた(苦笑
フットプリントまで入れると2,315g
あれだけ頭上が広く、ダブルドアで前室も広いテントなんで設営に必要なもの全て含んだ2kg超えは妥当な重量だと思います。
対してテロスTR2プラスはミニマム重量(フライ・インナー・ポール)で1531g、総重量(ミニマム+スタッフサック+ガイライン+ペグ)で1813gが公称値。
実測ではミニマム重量1554g、総重量が1734g
あれ?ミニマム重量は23g実測の方が重いのに、総重量だと79gも軽いって…
うぅ〜んよく分からないけど、計測方法に問題は無いはずです。
フットプリントを入れた実測で1980g
自分は必ずフットプリントも使う派なので、実際に使う重量としてネビュラ2と比べて335gもの重量差があります。
軽量には拘らないと先述しましたが、さすがにこれほどの差があると実感できちゃうので、やっぱり嬉しい。
ちなみに出入り口が1つしかなく居住性を犠牲にしたオクトスのアルパインライトは総重量が実測1832gと、わずか102gしか差が無い!?
参考のため細かく実測値を掲載しておきます。
インナーテント本体 597g
フライシート 511.5g
ポール 434g
ペグ8本(+スタッフサック) 69.5g
ガイロープ4本 16.6g
収納ケース3つ 98.8g
フットプリント(+スタッフサック) 246.3g
全部合計すると、1973.3gなので全部乗せて計測した時と6.3gの誤差がありますが、乗せ方(バランスの取り方)で数gの誤差はあると思うので、その辺りはご容赦下さい。
3分割する収納ケース=スタッフサックは予想どおりちょっと重いのですが、それでもこの軽さですからね〜
具体的に何が軽いではなく全てが軽いっ!
手抜き無く徹底して軽さを追求しているから全体での重量差が大きくなる。
そして圧倒的に軽量化しているから、収納ケースに凝ったギミック=重量増を採用できる。
逆を言えば、軽量化に全振りしていれば、もっと軽く作る事は出来たはずです。
決して軽量化を蔑ろにしているわけでは無いけど、軽量化よりも使い勝手とかを重視しているんだと思います。
この辺りも、自分と考え方が似ているような気がして好印象です。
こんなに軽量コンパクトなのに、張ってみると外観の大きさが大差無い。
テント内での印象だと、むしろ軽量なテロスの方が広く感じます。
テロスは頭や足元側の壁面が立っているんです。
ネビュラ2も頭側は比較的広くなるよう工夫はされていますが、テロスに比べるとまだ工夫不足だったんですね。
これは末端をY字状にしたポールのレイアウト方法によるものなんですが、まぁそのせいでポールの収納が嵩張る原因になってもいます。
快適性を求めたのは自分なので仕方ないですね。
ネビュラ2はX字状にポールを交差させ、頭側の横へリッジポールを配して広げる構造。
ドームテントとしては一般的な構造です。
対してテロスは中心に一本のポールを配し、そこから末端をY字状に広げる構造。
頭上部にはリッジポールを配して触覚状に広げているので更に広くなる。
普通リッジポールってネビュラ2のようにただ真横に通すのが一般的なんですが、テロスは触覚状に立っているのでより上方向に広がるのです。
このように、けっこう複雑な構造をしていますし、強度的にはメインポールをクロス状に交差した構造の方が有利なはずですが、優れた強度を誇るDAC社製のポールを採用する事によって、実用的に十分な強度を確保しているようです。
構造が複雑と言いましたが、あらかじめ全てジョインとされ、ドローコードで繋がって1纏まりになっているので、組み立て作業は難しくありません。
吊り下げ式なので、インナーの取り付けもとてもスピーディーに出来ます。
この吊り下げ金具だけはネイチャーハイクの方が良く出来ていると思ったけど、それ以外はとにかくよく考えられています。
フライシートをかける際にも、頭側と足側で金具やポールの色を分けることにより、分かりやすくしています。
足側が緑で頭側がグレーです。
細かいところではガイロープまで色を変えてわかりやすくしている。
金具・ポールの色分けは他のメーカーでもよく見ますがガイロープはちょっと珍しい。
ここまで徹底しているのは感心しましたね。
それに見てわかるようにロープの端にブーメラン形状のトグルがありますが、そのトグルをテントにかけるだけなので、もやい結びとか知らなくても早く簡単に取り付ける事が出来ます。
他には付属のペグも工夫が凝らされている。
自分はこの手の軽量なテントには、軽量な割にはそこそこ剛性の高いDACのVペグが合うと思っています。→紹介記事
プロモンテ(PuroMonte) アルミカラーペグ10本セット ブルー OGK3105SET
V字ペグは重ねて収納(スタッキング)出来るので、携行性も上々です。
SEA TO SUMMITは変形的なY字ペグを付属させています。
ただ一般的なY字ペグは3方向の長さが均等だが、このY字ペグはロープを掛ける切り欠きのある辺が短い。
むしろV字ペグの頂点だけが伸びたような造形です。
そしてその伸びた辺に切り欠きが切られていて、その切り欠きが3箇所もあるのも特徴的です。
DACのVペグもそうですが、この手の登山向きの軽量なペグはほとんどがアルミ合金製です。
SEA TO SUMMITはアルミ合金の中でも特に強靭な7000番台のアルミ合金=いわゆるジュラルミンを採用しています。
しかしいくら硬いと言っても所詮はアルミニウムですから、鍛造鉄やチタンと違って岩をも砕くとまではいきません。
途中に硬い石が混じったような地面だと途中で止まってしまいます。
そこで諦めて端のフック部にロープを掛けると、テコの原理でペグが簡単に抜けてしまうわけです。
そこでSEA TO SUMMITは力がかかりにくいように段階的に切り欠きを設けた、下の切り欠きほどペグへの負荷が軽くなるわけです。
それに埋まっている部分の土が少しでも抵抗となるように、V字ペグとは逆の向きに打ち込むよう考えたのでしょう。
でもV字の山折り部分に切り欠きを入れたら、ペグの強度は落ちてしまいます。
そこで山折り部分を少し延長する事により補強とし、補強した辺に切り欠きを入れるようにしたのでしょう。
結果的に変形的なY字形状になった。
要するに、このペグはV字ペグの派生形のようなものなんじゃないでしょうか?
重さは実測で7.9g
(写真は個体差による誤差を考慮して4本乗せて計測しています)
公称値は7gですから、0.9g重い。
抜きやすくするたえにガイラインが結ばれていたので、それを外すと7.5g
公称値の10%以内の誤差だからギリ許容範囲かな?
自分は気にしませんが、UL命の人には少し不満の残る実測値かもしれません。
軽量性を優先して長さも短いので、固定力はあまり期待してはいけません。
ちなみに以前のSEA TO SUMMITのテントに付属していた純正ペグは普通のVペグだったそうです。
そのまま同じペグを付けたって誰も文句を言う人はいないでしょう。
「純正ペグは使い物にならない」と、思っている人はたくさんいますから。
それでもSEA TO SUMMITは少しでも使える道具に進化させたいのでしょう。
ここまで来ると執念ですね。
と言っても河原で野営する事も多い自分には、いくらジュラルミンと言えど硬度不足なので、重量増覚悟でチタンペグなどと替えてしまう予定です。
自分はテント設営に慣れているせいか、初めてで何も見なくても設営できましたが、スタッフサックにわかりやすい組み立て方がプリントされているなど、初心者にも優しい。
設営がもっと簡単で早いテントはありますが、それらは快適性はおざなりな傾向にあります。
これだけ快適性を追求しているしそれなりに複雑な構造のテントなのに、簡単設営を実現しているのはこれらの細かな工夫の積み重ねによるものでしょう。
工夫はもちろん設営だけではありません。
サイクリストにとっては収納時に問題になったポールのケースですが、テントの天井部に取り付けて中に懐中電灯を入れると照明具になります。
もちろんランタンを直接吊るすことも出来ますが、天井の低いテントなのでランタンが直視しやすくて眩しく感じる事が多いのではないでしょうか?
それがこの工夫によって柔らかい光が広がりやすくて、とても具合が良いのです。
他のスタッフサックもテントに取り付けて小物ポケットに出来ます。
別売のオプション扱いですが、ギアロフトも非常に優秀な収納具になります。
足元側の天井下に、ただネットを張るだけのことなんですが
小物入れならぬ大物入れとしてスペースの有効活用ができるわけです。
頭側だけでなく足元側も壁面が立っていると先述しましたが、普通だと足元側が上方向に広くなっても意味が無いと考えがちじゃないですか?
ですが、その無意味に広がったスペースが、このアイディアで活用出来るわけです。
ちなみにこのギアロフトは、実測で20.6gとこれまた軽量。
ただの網なのに高額なのは悔しいけれど、あまりにも便利だし軽くて邪魔にならないのでこれは絶対に購入した方が良いオプションだと思います。
SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) アルトTR2用ギアロフト ST87501
先述したようにスタッフサックは小物ポケットになりますし、頭側にはよくあるメッシュポケットがかなり幅広く備え付けられています。
このように収納に関しては執念すら感じますが、おかげで煩雑になりがちなテント内も整地整頓しやすくなるわけです。
自分は荷物を置くスペースを確保したくて、今までこうした小型テントの場合は1人利用でも2人用ばかりを使ってきました。
でもこのテロスに関しては1人用でも良かったかな?と、長いキャンプツーリング歴で初めて思ったほどです。
だけどテロスシリーズは1人用の設定が無く、2人用か3人用の2種類だけなんです!?
ちなみに半自立型のアルトシリーズだと1人用があります。
SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) アルトTR1テント ST87001 グレー
ツーリング用途のテントは緊急避難的に、いろんな場所で設営する可能性があるので、自分は半自立型のテントをどうしても選ぶ気になれないのでこのアルトTR1も選択肢には入らないです。
ですが半自立型でも気にならない方でしたら、テロスと共通の部分が多くより軽量コンパクトなアルトTR1もかなり魅力的なテントだと思うので、一般的にはこちらの方がお勧めできます。
とにかく、大きな工夫から細かな工夫まで本当に感心させられます。
例えば出入り口のダブルファスナー
スライダーの引き手にロープが付けられていますが、その長さが変えられています。
手袋をしたままだと2つともつまんでしまう事とかありますよね。
よく使う方のスライダーなんてどうせ決まっているのですから、両方同じようにつまみやすくする意味なんて無いのに、他のメーカーではどれも同じ長さです。
SEA TO SUMMITは引き手の長さだけでなく色まで変えている。
こう言うちょっとした工夫は製造現場ではひたすら面倒なだけでしょうね。
原材料費に差は出なくとも、確認工程が増えるわけですから、コスト増にも繋がっているでしょう。
他のメーカーも全て一緒なんだから、こうした工夫をしなくても評価は下がりません。
もしかしたら細か過ぎる工夫故に、気付いてもらえない=評価が上がらないかもしれません。
それでもSEA TO AUMMITというメーカーは創意工夫をやめない。
本当に凄いと感心させられます。
もちろん基本的な機能・性能も手抜かりありません。
ベンチレーション
ネビュラ2のように過剰に大きくありませんが、内部から閉められるので寒い気候でも安心です。
前室の広さは普通ですね。
でもダブルドアですから、この前室が2つあるのでかなり便利に使えると思います。
他に特徴的なのは、シチュエーションによってテントの形態を変えられること。
通常の設営状態をクラシックモードとSEA TO SUMMITは呼んでいます。
フライートを全て捲り上げる、パーシャルフライモード
*画像引用LostArrow
メッシュ生地だと星空を眺めることが出来ると宣伝していますが、暑苦しい夜に蚊帳のように使えるって事の方が重要だと思います。
メッシュに比べて通気性に劣るファブリック生地でこそ、このパーシャルフライモードは役立つかもしれません。
フライシートのみのフライシートモード
応用として、雨天時などは先にフライシートを張ってフライシートの下でインナーテントを吊り下げるドライセットアップもSEA TO SUMMITは推奨しています。
120cmくらいのストックやポールを利用して、フライシートをタープのように張るハングアウトモード
夕方に移動を終えてクタクタに疲れ切っている時は、こんな変形をさせている余裕も無いでしょうが、ノンビリ滞在するならこんな変形も楽しいのでは無いでしょうか?
各モードの設営方法はweb上にPDFで公開されているので、ご興味のある方は参考にしてみて下さい。
このように多彩な設営を試みられるのは、移動を主目的にする人よりも滞在を主目的にする人、そんなキャンパーにこそ、このテントは突き刺さるのでは無いでしょうか?
自分は自転車キャンプと言っても、自転車で遠くに旅する事を現在は目標にしていません。
自宅近くに自転車で行ってキャンプを楽しみたいと考えているのです。
そんな自分にこのテントはピッタリだと感じたわけです。
数少ない欠点は、専用フットプリントを一緒にパッキングしにくいこと
フットプリントがそこそこ大きいのでフライシートなどのスタッフサックに入れるのは無理なんですよ。
3つに分割ではなく、4つに分けて持ち運ぶのだと思えば良いのですが、フットプリントは別売の高額な専用品だけに出来れば一緒に収納してほしかった。
SEA TO SUMMIT(シートゥサミット) テロスTR2ライトフット(インナーテントサイズ) ST87509
ポールケースとの間に無理やり挟み込むことも出来ないわけではないけれど、ちょっと無理があると思いません?
そして自分にとって最大の欠点は何度も先述しているポールケースが長過ぎて自転車に装着するのもディパックに完全に入れることも出来ない事。
でも実はこの欠点を克服しているモデルもあるのです。
テロスTR2バイクパック
SEA TO SUMMIT(シートゥーサミット) テロスTR2バイクパック メッシュインナー グレー ST87005
随所に工夫が盛り込まれたSEA TO SUMMIT テロスTR2プラスの紹介でした!
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