寝袋(シュラフ)には形状で分けて2種類があります。
ミノムシのように全身を覆うマミー(人形)型と、

掛け布団と敷布団をファスナーで連結したような構造で、封筒のように長方形で上から下までほぼ同じ幅の封筒型。

収納時にコンパクトになり使用時は体に密着するため保温性にも優れるのがマミー型、ゆったりして寝返りも打ちやすく寝心地に優れるのが封筒型です。
形状としてはこの2種類が基本となります。こうした寝袋の中に充填する素材としては主に化繊綿かダウンの2種類が一般的です。
化繊は素材として安価で保管やメンテナンスが楽なのがメリットですが、やや重くダウンほどは圧縮しにくいので携行時に嵩張り重くなるのが欠点です。
ダウンは高品質なものは非常に高い圧縮率を誇るので軽量コンパクトに持ち運べるのがメリットですが、水に濡れると保温性が極端に劣ったりカビ安いなどが欠点です。形状としてマミー型と封筒型、中綿素材として化繊とダウン、このシンプルな組み合わせでほとんどの寝袋は決まります。先ず形状を決めましょう。
登山やツーリングなど移動時の積載量に制限の多い場合はマミー型、車移動のオートキャンプで寝心地を優先したかったら封筒型というのが基本です。
ただし、冬キャンプを主眼に置いた場合は保温性重視でマミー型を選ばれる方が多い傾向です。
と言うかほとんどのメーカーが冬用封筒型の開発に力を入れていないのが実情です。また封筒型のメリットの1つに、同じ型の寝袋なら複数の寝袋をファスナーで連結が出来るというのがあります。

こうすれば所謂「川の字」で親子3人寝ることも出来るので、小さなお子さんがいるファミリーには便利です。
また封筒型は掛け布団のように、お腹まで開けるなんて使い方が出来るので、実際の快適使用温度が幅広いのもメリットです。

このように封筒型はとにかく寝心地や使い勝手に優れているのです。
我が家は快適性を重視して主に封筒型を使うことが多いのですが、化繊綿の封筒型だと移動時にかなり場所を取るのが悩みの種です。

上記の写真は夫婦二人分の封筒型化繊綿寝袋ですが、大型テントなどよりも車内で場所を塞ぎます。
もちろん自宅内での保管時にもこれだけ場所を取るのだという事を覚悟しておかないとなりません。
このように紹介すると、少しくらい寝心地が劣ってもマミー型の方が良いと思う方もいるでしょう。
寝返りなどの寝心地は劣るものの、体に密着して隙間が無いおかげで保温性は圧倒的にマミー型の方が優れています。
寒い時期は暖かくないと熟睡しにくいものですし、そういう意味での寝心地ならばむしろマミー型の方が優位とも言えます。
寝返りなどの寝心地、冬季の保温性、収納時のコンパクトさ、これらの要素のどこに重点を置くか?というかどうバランスを取るか?が選択の決め手になります。
ご自身でよくお考えください。
中綿に関しては基本的にはダウンの方が優れているというのが素直な本音です。
先述したように化繊綿にもメリットはありますが、やはりキャンプにおいてはコンパクトに圧縮できるというメリットは代え難いメリットなんです。
水濡れに弱いとかカビ安いなんてデメリットは気を使えば済む話ですが、どんなに気を使ったって体積はコンパクトに減りません。
ぶっちゃけて言うなら、寝袋にどれだけの予算をかけられるのかで化繊になるかダウンになるかを決めるのが現実でしょう。
とは言え、中華製の中途半端なダウンシュラフを使うくらいなら、化繊綿で我慢した方が良いと個人的には思っています。
どうせダウンを選ぶなら出来るだけ、高品質=高額なダウンを選んだ方が後々に後悔しないからです。
そのダウンの品質が多くの中華メーカーは怪しいのが自分の経験則です。
性能はフィルパワー(FP)で数値化されます。
FPとはダウンの膨らみを数値化したもので数値が大きい方が暖かくなります。
更に言うなら大きく膨らむということは小さく縮むの裏返しでもあります。
そう、FP値が高いダウンほどコンパクトに圧縮できるのです。
暖かくてコンパクト、もうキャンプ用シュラフとして理想的な訳です。
一般的に500FP以下が低ダウンとされ、600〜700FPは良質ダウン、700FP以上は高品質ダウンとされています。ただ最近の傾向から600FP未満は低級品、600〜800FP未満が中級品、800FP以上で高級品というのが自分の中での認識です。
更に細かいことを言うと、ダウンが取れる鳥には大まかに2種類います。
ダック(アヒル)とグース(ガチョウ)の2種類です。
アヒルよりもガチョウの方が体格が大きいので取れるダウンも大きくフワフワなのです。
更にアヒルは雑食ですがガチョウは草食なため、獣臭がガチョウの方が少ない。
更に更にダウンにも寿命があるのですが、一般的にダックは3〜4年、グースは10〜12年と言われています。
実際には3〜4年経ったからといってダックダウンがサラサラと消えてなくなる訳ではなく、当初の性能を維持できなくなるだけで、10年くらいはダックダウンでも使えると思いますが、とにかく製品寿命はグースの方が3〜4倍長い訳です。
ここまで言えばもうわかりますね。
どうせダウンシュラフを買うなら800FP以上のグースダウンを買った方が良いって事です。
セールで有名メーカーのダウンシュラフを喜んで買っても、それが800FP未満のダックダウンだったら有名メーカーの意味は薄いと思います。
ついでにシュラフにとって重要な数値を説明しておきます。
よく3シーズン用シュラフなんて謳い文句で安価なシュラフが売られていますが、3シーズン=春〜夏〜秋って随分と幅広いですよね。
春・秋と言っても冬に近い春秋は結構寒いし、夏に近い春秋は結構暑いです。
その3シーズンはどのくらいの春・秋を想定しているのかが重要です。
まともなメーカーはフワッとした3シーズンなどと言わずに、気温で区分します。
下限温度とか限界温度なんて表示はその温度までは生存出来る温度って感じで、当てになりません。
目安としては快適温度とかコンフォートとか表現される温度を目安にして下さい。
と言っても体感温度って人によってまちまちですし、筋肉量などによって耐えられる温度って変わるんですよ。
寝袋って元々は登山用品だったりしたので、筋肉量の多い山男基準というか、まぁ要するに随分と甘い基準だったメーカーも多かったのです。
要するにメーカー毎にこうした快適温度ってばらつきがあったんです。
それを世界的に統一した規格が最近できまして、ヨーロピアンノーム(EN)という比較的一般人の感覚に基づいた基準値が策定されました。
測定は第3者機関が実測するので、メーカーでの誤魔化しはできません。
このヨーロピアンノームに準じた快適温度の表示でしたら、山男ならそのままで一般人でしたらプラス5度くらいで考えると良いと思います。
例えばENコンフォート5度だったら、気温10度までは寒さを感じずに眠れるという事です。
残念ながら全てのメーカーがこのヨーロピアンノームに準拠していないのですが、目安の1つとしてお考えください。
ご自身がどのくらいの気温の季節までキャンプをするのか?
もちろんその時々によって外気温は変わりますが、過去の平均気温を見れば目安は分かるじゃないですか。
具体的な商品を紹介する前に少しだけ、有名メーカーの解説をしておきます。メーカーは国産で特にダウンシュラフに関しては、ナンガ・イスカ・モンベルの3社が3大メーカーと言われています。
各社の傾向としては
モンベル
登山用品の総合メーカー、バランスの良い無難な商品作りで安価な割に高品質。
以前はシュラフ内でアグラをかけるくらい内部が伸びるので寝心地に定評がありました。
イスカ
ヨーロピアンノームに準拠していなかったり、広告宣伝が下手だったりで一般的な知名度は低いが、真面目な製品作りでガチ登山勢には絶大な信頼がある。
ダウンのFP値はやや低めの傾向で少し重いが、暖かさには定評がある。
ナンガ
ダウンの品質にこだわり高額だけど永久保証で高級ブランド的な評価を受けている。
実際最高グレードの寝袋は高品質なダウンを使っているが、価格に見合うかというとちょっと疑問。
入手製やアフターフォローを考えるとこの国内3社を選んでおけば無難。価格的に国内3社が厳しい人は中国のイージスマックスがお勧め。
安価な割に使える中華ブランドと言えばネイチャーハイクと思う方も多いでしょうが、こと寝袋に関してはイージスマックス一択です。
ヨーロピアンノームに準拠しているので、品質管理はしっかりしていて実際に高品質。
モンベル等の国産勢と比べるとやや窮屈だったり保温性がほんの少しだけ落ちるようだが、極端な差は無い。
なのに価格は激安。
価格が原因でダウンシュラフを諦めるなら、一度見てみる価値はあるブランド。
さて、だいたい解説が終わったので実際の商品を紹介していきましょう。
先ず真夏しかキャンプをやらない人でしたら、本来は寝袋は無くても寒く無いですよね?
この記事本来のターゲットである、初心者でしたらまずは自宅からタオルケットを持って行くくらいで十分だと思います。
でもそれじゃぁ不安だという方向けに
これなら寝苦しい熱帯夜でも、大きく広げてただ上からかけるだけといった使い方ができます。
何と言っても1枚約千円!
気軽に買えますね。
夏しかキャンプをしない、あるいは夏専用ならば有効な選択です。
自分は急な車中泊用に、この手のシュラフを1枚いつも車に積んだままにしています。
もっと軽量にしたい方ならシュラフカバーで代用
このエスケープヴィヴィはシュラフをテント内の結露などの水分からダウンシュラフを守る用途に使うのだが、単独使用でもけっこう暖かい。
夏が終わったら本来のシュラフカバーとして使えば良いし、良い選択だと思います。
自分は20代の頃は、真夏ならば防水透湿素材のシュラフカバーを単独で使用していました。
それで寒くて眠れないなんてことはありませんでした。
ただまぁカサカサのビニールに包まって眠ることを想像すれば分かる通り、寝心地は良くありません。
自分はこの旧モデルを所有していますが、夏用としては単独使用、3シーズンモデルでは寒い時に重ねて使用などのと結構便利に使っています。
現行品はダックダウンに変更されてしまったのが残念ですが、とにかく軽量コンパクトになるので意外と重宝しています。
春・秋の使用を想定している方向け
晩春・初秋ならば15〜20度くらいまで暖かいことも珍しくありません。
ゴールデンウィーク頃では最低気温は10度くらいの場所が多いかと思いますが、季節外れの寒波や高地では5度くらいまでは想定した方が良いかもしれません。
多少の寒暖差は所持している服等をかけたり着込んだりで調整する。
そう考えると、コンフォート5度くらいのシュラフがあれば、大抵のシチェーションに対応できます。
何なら、ダウンジャケットなどを着込んでシュラフに入ったり、電源を確保して電気毛布を中に入れたりすれば何とか冬キャンプにも対応することまで出来ます。
ENコンフォート5度のシュラフは個人差ありますが、だいたいそのくらいだと思ってください。
封筒型化繊シュラフのお勧め
我が家はこれの初代モデルを使用していますが、本当に最高の封筒型シュラフだと思っています。
横幅95cmは本当に楽。
残念ながら生産中止が発表されていますので、現在の店頭在庫が最後の入手チャンスだと思います。
化繊にしては高額ですが、それだけの価値があるシュラフだと思っています。
収納に余裕のある車の方にはお勧めです。
生産中止ではいつまで購入できるかわからないし、何より化繊シュラフにしては高額過ぎると感じる方にはコールマン
封筒型ダウンシュラフ
実際に使ったことが無いので断言は出来ませんが、気温15度くらいまでの3シーズンとして使うなら問題は無いと思います。
800FPのグースダウンとの事ですが、自分自身が過去に購入したネイチャーハイクのダウン製品からすると正直やや怪しいと思います。
コンフォート6度との事ですが、自分は信じません。
とは言え、そこまで酷いこともないと思います。
Lサイズを選ぶと横幅80cmとコールマン同様にまぁまぁ快適。
ダウンシュラフとしては安価ですし、コンパクトになる封筒型ダウンシュラフを探している方にどうぞ。
マミー型化繊シュラフ
ダウンで有名なイスカから
だいたい15度くらいがちょうど良いかな?
化繊の割には高額と感じるかもしれませんが、しっかりした山岳有名メーカーの製品なので安心感があります。
汗をかいても保温性があまり落ちないし、気軽に家庭でジャブジャブ洗えるので晩春〜早秋の3シーズンと考えると使い勝手が良いような気がします。
海外ブランドで化繊シュラフとしては有名なスナグパック
3シーズンとしてはやや保温力高過ぎな気もしますが、スナグパックは保温力が売りですからね…
その分、畳んだ時の大きさも覚悟が必要な収納性。
大きな車で収納に余裕のある人向けかと思います。
マミー型ダウンシュラフ

国産3大メーカーの1つモンベルのダウンハガー800#3
800FPのグースダウンを使って総重量531gに仕上げています。
先に挙げたように春〜秋のキャンプを考えたらこのモデルがENコンフォート4度ですから、ちょうどです。
夏も時期・場所によっては使えるのでこのくらいがキャンプでは一番使用範囲が広いと思います。
でも冬キャンプも兼用しようと考えているなら、ダウンウェアを着込むつもりでも#2に上げておいた方が良いです。
あるいはレジャー目的のキャンプではなく登山のように高地で使うなら、やはり#2が無難。
冬キャンプに単独使用を考えるなら#1(何なら#0)とこの#3の2つでオールシーズン運用するのが一番効率的だと思います。
もう1つの国産3大メーカー、イスカから
このモデルも800FPのグースダウンで総重量550gに仕上げています。
ちなみにイスカはダウンの充填量も公開していてこのモデルは280gです。
イスカはヨーロピアンノームには準拠していませんが、このモデルの使用温度を10度(最低使用温度2度)としています。
モンベルは充填量公開していないので、断言は出来ませんがダウンのFP値と総重量とから考えればモンベルの800#3とほぼ同格なのは間違い無いでしょう。
こういう統一規格に参加しないメーカーの多くが自分達に都合良く甘めに表示するのが多い中、イスカはむしろ自分に厳しい(笑
こういう姿勢もイスカに好印象な理由の1つです。
モンベルの#2同様に、人によってはイスカも450にグレードアップした方が良いかもしれません。
そして3大メーカー最後のナンガですが…
モンベル800#3やイスカエアプラス280に該当するモデルが無い
敢えて挙げれば
760FPのダックダウンで明らかに一歩いや二歩劣る品質のダウンが350g充填。
これでコンフォート5度なので、まぁ同じクラスといえば同じクラス。
総重量は750g
これは側生地に防水透湿素材を使っているためでもあるので、一概に悪くは言えないけれどまぁ軽量コンパクト性ではデメリットになる。
このくらいでグースダウンに拘ると
こちらは860FPのグースダウンを350g充填。
総合的にモンベル800#3やイスカエアプラス280よりも1クラス上と言えるか?
ただし価格は2クラスは上の価格。
そして、使用温度に関しては下限ー6度と何故かコンフォート温度を公表していない。
うぅ〜んこう言う所もナンガが好きになれない理由なんですよね。
申し訳ありませんが馬鹿馬鹿しくなってこれ以上アレコレ言う気が失せます。
ナンガはトップグレードのシュラフに関しては確かにとても高品質なダウンを使っていますが、低級グレードに関しては高品質とは呼べませんし、中級グレードなどでもよくわからない謎の性能表示。
自分にはこんなブランドを有難がる気持ちが湧きません。
個人的には3大メーカーの中で一番誠実で真面目な製品づくりをしているのはイスカ、大量生産による量産効果でコスパに優れた製品を提供しているのがモンベルという認識です。
もし金に糸目をつけずに最高のダウンシュラフが欲しいなら、キュムラスなどの海外メーカーでセミオーダーをした方が良いと思います。
海外メーカーなら先述したイージスマックスも紹介したい
800FPのグースダウンを380g使っているので、モンベル800#3やイスカエアプラス280よりもやや上の製品。
ヨーロピアンノームコンフォート3度との事だが、ダウン量の割に控えめな数値。
実際使った人の評判を聞くと、足元が国産メーカーに比べるとやや窮屈だったりその割に首回りが緩いので保温性に劣る傾向があったりとやはり作りは国産3大メーカーに比べるとやや劣るという評判。
とは言え極端に酷いわけではないし、価格を考えたら十分以上の性能のようです。
下手な化繊シュラフを買うくらいなら、あと数千円足してイージスマックス狙った方が良いと自分は考えています。
いくつかのシュラフを紹介しましたが、結局は使用者の感覚が一番大事なのは間違いありません。
暑さ寒さは本当に人によって感じ方が違うものです。
そして寝心地も人によって感じ方は違います。
最終的にはご自身で使い比べてみない事には良いも悪いもわからないと思います。
そういう意味ではとにかく1つ購入してご自身の感覚を先ずは確認してみるのが良いと思います。
それとシュラフ選びと同じくらいに下に敷くマット選びも重要です。
マット選びも別にまとめましたので参考にしていただければ幸いです。→リンク
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