元々ポリエステルよりもナイロンは強度に優れるのですが、コーデュラは普通のナイロンよりも7倍も強度があるのです。
更に耐光性があるのでポリエステルよりも色褪せしにくく、更に更に熱にも強いので火の粉にもやや強い。
良いことづくめで欠点らしい欠点が少ない。
さてこの3種類の中で我が家に一番合うのはどれだろう?
以前の自分ならば見た目重視でコットンを選んだろうが、コットン素材のTake!チェアを数年使ってきた自分としては今回は回避しようと考えました。
火の粉で穴が空きにくいのはかなり魅力なんですが、汚れやすいのが気になったのです。
せっかくオシャレな見た目でも、あちこち汚れシミが目についたら意味が無いように思うのです。
コットンは「使い込むと風合いが良くなる」なんてよく見かけますが、それは綺麗に手入れしてこそです。
頻繁に食べ物や飲み物で汚れたら、ズボラな自分では風合いなんか出ないで見窄らしくなるだけだとTake!チェアを使ってきて思い知らされました。
そうして我が家が最初に候補に挙げたのはスタンダードモデルのハイバックチェアIIでした。
着ている服にもよるのでしょうが、コーデュラはナイロン素材特有の滑り安さが感じられて、座面でお尻が滑って落ち着かないように感じたのです。
その点ポリエステルのスタンダードモデルは滑りにくく落ち着きが感じられたのが好印象だったのです。
ただハイバックチェアIIは、肘掛けがアルミ素材なので冬には冷たく感じられるのでは無いかと心配もありました。
グランドロッジの店員さんに相談した時も、その点を強くアドバイスされました。
また座布と肘掛けの素材以外に違いは無いと思い込んでいたのですが、コーデュラとコットンの方がハイバックIIよりも横幅が5cm狭い事も教えていただきました。
なるほど、お尻が滑るのは素材の違いだけではなく横幅のゆとりも関係しているんでしょうね。
昨年のキャンプで自分の姉が「通常の椅子では窮屈で横幅にゆとりのある椅子の方が快適」というような感想を言っていたのが気になっていたのですが、これから自分も歳をとることを考えると横幅は広い方が良いのかな〜なんて気にもなってきました。
そう改めて考え直して座り比べてみると、なんかハイバックチェアIIよりもコーデュラの方が快適なような気になってきました(苦笑
妻も同意見のようで、気持ちはコーデュラに傾いてきます。
更に店員さんの話しでは、コーデュラやコットンは製造が高コストなので今後価格の維持が難しい→しかしこれ以上の値上げでは売上が見込めない→なので製造中止、という事が決まってしまったとのことです。
すなわちコーデュラとコットンはもう店頭在庫のみで処分セールを行なっているのだそうです!?

要するに高コストで作りの良い椅子が安価に買えるのは今のうちだけ?
これはもう完全にコーデュラで決まりでしょ〜
そして更に5月にはこんなセールがオンラインストアで行われたので

30%オフの商品がそこから更に15%オフだったんです!
半額近い割引!? 買うなら今しかない!!
まぁそれでも1脚11,154円と、そこそこ高価でしたけどね。
注文してから5日で到着、意外と日数かかりましたね。

ハイバックチェアは見てのとおり、けっこう大きいというか長い箱で送られてくる。
でもスノーピークのtake!チェアロングの時はもっと長かったので、自分的には予想どおり。
ハイバックチェアは収納に長さが必要なんだと改めて思い知らされます。
色はダークブラウン・ブラック・レッドの3色あるが、我が家が選んだのはダークブラウン。

テントを複数所有しているので、どんなテントにも合わせやすい事と、汚れが目立ちにくいだろうと予想しての選択。
椅子だけ単体で見るとブラックは凄い格好良いのですが、テントやテーブルなど他の道具と合わせると案外浮いてしまうような気がしたんです。
そんな様々な考えを経て選び抜いたハイバックチェアコーデュラを実際に使ってみた感想は…
散々と先述したようにとにかく座り心地が良い。
頭までカバーしない事をあげつらってきたが、実際にはお尻を少し前にずらせば180cmくらいの身長でもだいたい頭をカバー出来る。
「寝落ち椅子」のあだ名は伊達ではありません。
そうやってお尻をずらしたりしなければ、過剰にリラックスし過ぎず立ち上がったりも楽にできて絶妙な形状です。
また、Take!チェアなどのように座面が弛んでいるタイプはどうしても、太腿裏が圧迫されて痛くなってきやすいのですが、ハイバックチェアは直線的で太腿裏を圧迫する事もありません。

短時間の試し座りだと座面が弛んでいる方が包み込まれているような気持ち良さがあるんですが、長時間座っていると太腿裏が痛くなったりするので、自分はこのタイプの方が最近は好きです。
特にogawaは座面先端が少し傾斜がついて落ちているので、本当に快適です。
ハンモックのように包み込まれるリラックス感を求める人には合わないと思いますが、座って本を読んだり食事をした時には居眠りをしたりとトータルで考えるとこちらの方が座り心地が良いと感じる人は多いと思います。
このように座り心地が良いのはもちろんですが、使い勝手もかなり良い。
収束式なので展開がワンアクションで手間要らずなのはこの形式共通の強みですが、他にも細かな工夫が盛り沢山です。
例えば、背面に大ぶりなメッシュポケットが付いている。

それとグランドロッジの店員さんが言っていたが、背面のフレーム部にループがあるので、ここにカラビナなどを付けておくと小物を吊り下げられて意外と便利なのだそうだ。

ちなみにこうしたメッシュポケットやループはハイバックIIやコットンと共通の装備。
セルウッドという木材を肘掛けに採用しているのがハイバックIIとの見た目の大きな違い。

ハイバックIIはアルミ剥き出しなので冬は冷たくなるので、この違いは大きい。
ただしこのセルウッドはやや削れやすい素材なんで長く使っていると、かなり傷だらけになりやすい。
ガシガシとハードに使うにはやや向かない素材のようです。
先述したように、座面の横幅がコーデュラ・コットンの方がハイバックIIよりも5cm広いのも相違点。
カタログスペックで見ると実は座面高もコーデュラ・コットンの方が3cm低く、全高も2cm低い。
収納サイズを見てもコーデュラ・コットンの方が4cm低い。
こういう採寸ってどこをどんな状態で測るのかによってけっこう変わるので判断しにくいのですが、全体にサイズが微妙に違うようです。
ハイバックチェアIIの方が寸法が少し高く設計されているようです。
こうして改めて考えてみると、「コーデュラ・コットンは高コストだから廃盤になった」という店員さんの言葉も鵜呑みには出来ないように思います。
ハイバックチェアIIの前モデルはコーデュラ・コットンと同じ寸法でした。
前モデルだとユーザー自身でコットンに変えるために座布のみを販売していたくらいです→
参考ブログ
肘掛けもセルウッドで全モデル同じでしたし、アルミフレームも黒塗装されていないシルバーのタイプでした。
要するに以前は座布の素材の違いだけでフレームは同一だったわけです。
現行のハイバックIIのフレームは似て非なるものですから、工場も2つのラインが存在していたわけですね。
なるほどそりゃぁ製造コストが高くつきますね(苦笑
素材が違うからコストが高いんじゃなくて、製造ラインが2つあるからコストが高くつく→だから売れる方にラインを集約しただけの話しだと思います。
そうでなくとも同業他者と比べてogawaの製品は割高なんですから、素材をコーデュラやコットンに変えたくらいで利益が出なくなるわけありません。
ハイバックチェアコットンIIなんてのがその内に発表されるかもしれません。
もちろんフレームはハイバックチェアIIと共通で…
個人的にはセルウッドの肘掛けと少し幅広でゆとりのある座面は正解だったと思っているので、全く後悔はしていません。
何よりコットンはともかくコーデュラはもうラインナップされないと思うんですよね。
コーデュラナイロンはちょっと滑りが良すぎるのは気に入りませんが、耐久性・耐光性に優れているのはかなり魅力です。
中古でハイバックチェアは時々見かけますが、ポリエステルもコットンも色褪せている個体が多いように感じています。
ナイロンとポリエステルで比べるとナイロンの方がは染色しやすいので、褪色もしにくいのです。
コットンでしたら色褪せもヴィンテージとしての味と捉える人もいるかと思いますが、化繊の褪色はただの劣化にしか思えません。
その上、コットンほどではありませんがポリエステルよりはかなり燃えにくいので火の粉にも多少は強い。
なのでコーデュラナイロンは長く使おうと思うなら、かなり優秀な素材なんです。
ただ製造コスト=企業の利益で考えるとポリエステルで作るのは当たり前なんで、これから先にコーデュラナイロン復活は難しいように思えます。
そんなわけで気に入った椅子を気に入ったヴァージョン・素材でしかも安価に入手できて良かったと思っています。
でもきっとハイバックチェアIIを購入していたら、それはそれで満足していたろうなと思います。
元々は、何度も試し座りした上でハイバックチェアIIの方が候補だったくらいですし、素晴らしい座り心地だと断言できます。
ogawaが次代のスタンダードとしてマイナーチェンジした椅子なわけですから、間違いなく完成度の高い椅子なんです。
などと言いながら、この後に中古でコットンも1脚買い足しました(苦笑
本当にどの素材でも完成度の高さは実感できます。
付属の収納袋はこんな感じ。

背もたれが高いので、先述したように収納状態はかなり長い。
軽自動車なんかだと積載に頭を悩まされると思います。

とは言っても70VOXYの後部に横置き出来るくらいなので、ある程度の車格が有ればそこまで邪魔になるわけでもない。
いくつもの椅子を経験して、最後に辿り着いた素晴らしい椅子だと思っています。

と、個人的にはかなり気に入ったのですが、万人にお勧め出来る椅子かと言えばやや微妙。
座り心地は間違いなくお勧めできます。
お店で短時間試し座りしただけなら他にも座り心地の良い椅子はいくつもありますが、いろんなシチュエーションを考えるとやはりこの椅子が良いと思います。
じゃぁ何が問題かといえば価格です。
自分のハイバックチェアコーデュラで定価19,800円(2023年5月)、ハイバックチェアIIでも定価15,400円
正直に言えば高額すぎると思います。
自分のようにうまくセールにあたって安く買えれば良いのですが、必要なタイミングというのもありますからねぇ…
自分は椅子をいくつも所有しているから、セールのタイミングを見計らう事ができただけです。
となれば元々の定価がもっと安価な椅子を探すのも手です。
ogawaと似た形状の収束式の椅子は現在、とても多くのメーカーから販売されています。
収束式の椅子自体はずっと昔からありますし、意匠権も認められないでしょう。
昔から評価が高いのですから、そりゃぁ模倣するメーカーも出てきます。
中国製の安価なコピー製品も多く出回っていますが、信頼性を重視するならそれらは避けたい。
全体重をかけて使う製品ですから、強度が足りなければ故障もしやすいし座って体重をかけている時に壊れたら怪我の元です。
それに外見は似ていても、寸法や角度の微妙な違いで座り心地が大きく損なわれている可能性もあります。
長く作り続けてきただけに信頼性と絶妙な座り心地は、コピー品とは一線を画すものがあると思います。
しかし安易にコピーと呼べないブランドがあります。
世界の有名アウトドアブランド製品を輸入販売しているA&Fが独自に立ち上げたブランド=
アディロンダックです。
ogawaは元々は小川テントから発生したブランドですが、過去に2回も倒産して現在はキャンパルジャパンがogawaブランドとしてテントやアウトドア用品を製造販売しています。
しかし倒産してすぐには全ての製品を製造する余裕が無い時代もあったのです。
2012年1回目の倒産当時も、既に優れた製品として人気の高かった椅子類がそうした状況でした。
親会社の小川テントが2011年に倒産しアウトドア部門の製造販売を継承した小川キャンパルですが、椅子類は販売が停止されたままだったのです。
元々、椅子類は中国の工場(コールマンの製品も受注していた技術力の高い工場)が製造していたのですが、ブランドを継承した小川キャンパルが安価なコストで製造再開を依頼したのを、工場が拒否したらしい。
とは言え工場としても製造ラインは既にあるのだから放っておくのも勿体無い、そこで工場側がA&Fに持ちかけたらしい。
A&Fが小川キャンパルと交渉して、オガワブランドを名乗らないことを条件に販売権を取得したらしい。
(当時のブログや店員さんから聞き齧った情報なので、明確な根拠はありません)
要するにアディロンダックの椅子は、オガワのコピーではなくブランド名が違うだけで、オリジナルと同じ製品だったのです。
現在はその小川キャンパルも倒産してキャンパルジャパンが各種権利を継承して、椅子類も製造販売していますが、アディロンダックはある意味で小川を継承したもう一つのブランドと言えます。
現行のogawaは当時の工場と別の工場を使って再生産したので、アディロンダックとは相違点もありますが、ルーツは一緒という事です。
そんないざこざを以前に聞いていたので、アディロンダックも候補として考えてはいたのですが、デザインというか色使いが自分の好みでは無かったので、最終的には候補から外したのです。
アディロンダックも椅子は3種類あります。
ただしラインナップ的には微妙に違う。
スモールキャンパーズチェア
子供用の椅子として使っても良いし、ロータイプの椅子として使っても良いという感じのようです。
肘掛けが’付いていますし、ogawaのローチェアとは別のコンセプト。
リラックスキャンパーズチェア
これは完全にogawaのリラックスチェアに相当します。
キャンパーズチェア
こちらがハイバックチェアII相当です。
ちなみに名前は変えずに、コットン生地もあります。
改めて、今見ても選ばなくて良かった(苦笑
でも先述したように質はogawaに劣らず、価格はかなりこなれています。
現行ではポリエステルは黒・コットンはベージュの2種類しかないけど以前はもっといろんな種類のカラーリング展開があって悪くない色もあったのにな〜
そんな事を考えていた時にリサイクルショップで旧モデルを見つけた。
ポリエステル素材のキャンパーズチェアです。

色はコヨーテブラウンで好きな色使いだが、座面に火の粉で小穴がいくつか空いている。
使用感は強めだが、おかげで価格は安かった。
ogawaのハイバックコーデュラを妻の分と合わせて2脚購入してあるが、親族や知人と一緒にキャンプを行うときのためにあと2〜3脚くらいは欲しいと思っていたので迷わず購入した。
さて実物を比べてみると…
高さは僅かにアディロンダックの方が低い。

とは言え、単純に座面が短いというわけではないようです。
座面も奥に少し傾斜しているようでやはり僅かに低く、背もたれの角度もやや寝ているのです。

座面の横幅はほぼ同じ。

座ってみるとやはりアディロンダックの方が気持ちリラックス傾向が強い。
でもそれは2つ並べて座り比べて感じる程度のレベルで、極端な差は無い。
人によっては座り比べても違いを感じない人もいるんじゃないか?ってレベル。
座布の張りがogawaの方が強くピンと張られている事も関係していると思うが、購入してまだ間も無い個体と使い込まれた中古を比べるのはそもそも無理がある。
一番負荷がかかるであろう、座面の角には補強がされているなど、作りはアディロンダックの方がやや良いような印象。

生地も裏面のウレタンコーティングが分厚く、かなり良質な生地だったのが印象深かった。
(ウレタンコーティングが厚いと通気性が悪くなるので、必ずしも機能的とは言えない)
収納寸法も約1cmくらいアディロンダックの方が短いようだが、こうした仕様は予告無く変更される事は珍しくも無いので、現行品はどうなっているのかわからない。

背面のポケットが無いなど装備面ではやや劣る。

現物をザッと比較してみたがほとんど違いは感じられず、どちらも良い椅子としか言いようが無い。
最終的には価格差と見た目で決めるようになると思う。
どちらを選んでも間違いの無い選択だと、両方お勧めできます!
ただ、ogawaポリエステル製の旧型ハイバックチェアは座面の縫い目が裂けやすい傾向にあるようです。

焚き火などでの穴あき予防のために中古でコットン製を探して痛い目に遭いました。
安価な中古を狙っている人はやや気をつけて見た方が良いと思います。→
リンク
でもこうした安価な中古品は、アウトドア用品らしく気楽に雑な扱いをしやすいので、自分的には中古品も捨て難いのです。
例えば、川の浅瀬に椅子を置いて足元を冷やしながらノンビリするのが夏は好きなんです。

こんな扱いには中古の安い商品がピッタリ1
アルミフレームだから錆の心配が少なく(リベットは錆びる可能性があります)、ポリエステルやナイロンでしたら濡れてもすぐ乾くので都合が良いんです。
使い方や好みによって最適解は変わりますが、皆それぞれに良いところも悪いところもあります。
ただ価格・デザイン・収納寸法さえ納得できればogawaもアディロンダックもかなり完成度の高い椅子だと感じます。
極上の時間を極上の椅子で過ごしませんか…